レウカディアン ずっと子供でいたかった。そうすれば、少なくとも他人の気持ちを事細かに知りたいなんて思わなかったろう。つくづく碌でもないなと攻め立てるように、冬の空は寒さを突き刺してくる。
十年来の友達と、それも二人きりで何処かに行こうといわれて、子供っぽくはしゃいでいたのは言うまでもない。出発前に母親に茶化されたので、大いにブチギレて来たのは己の心を正当化するのと、困ったほどに他人の友人を貶す性質に嫌気が差したからである。
そんな黒い感情も、持ってるだけ無駄だと感じるくらいに、変わったなあという気分に心が一新される。それと同時に、自分の変わらなさに自意識が変わるような気さえしてきた。気を取り直して、駅まで向かう車の中で、今までのことやこれからのことを話していると、「かわいい」と世事のつもりで言ったハズが、数分後には本気になっているもんだから、自分でも呆れてくるのがよく分かった。
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