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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第9話「荒野を越えて」TEXT版
    ローズは慕っていたマレフィセントが自分に呪いをかけた張本人だったと知って、心乱れるまま走り去った。三人の妖精たちは、彼女を探そうとするが……。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)連載中。このパートのインスパイア元は映画「マレフィセント」。今回は映画ネタバレ少なめで捏造多め。何でも許せる人向けです。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第9話「荒野を越えて」 三人の妖精たちは、途方に暮れていた。
     ローズに話を聞かれてしまった上に、ショックを受けた彼女は走り去ってしまったのだ。慌ててローズの後を追ったが、彼女を見つけることは出来なかった。
     フローラが心配のあまり両手を揉み合わせながら嘆いた。
    「あの子を連れて帰らなかったら、王様がお怒りになるわ!」
     フォーナは更に恐ろしい予想を口にする。
    「ステファン王は容赦がないわ。覚えてる? あの子を私達に預けたときのこと! 『わかっているだろうな、これは妖精族の犯した罪だ。お前たちの失敗も妖精の罪となる。このことをよ~く覚えておけ!』ってね」
     ステファン王の声真似をするフォーナ、迫真の演技だ。
    「そうよね!」とフローラが同意する。
    「あの恐ろしい王様は何をするかわからないわ。誕生の祝福だって、断ってたら何をされたかわからなかったもの……。本当はあんな怖い人には近寄りたくなかったのに……」
     フローラとフォーナは抱き合って震え始めた。
     すると、メリーウェザーが眉をきりりと上げて二人を叱咤しったした。
    「ふたりとも! そんなこと言ってる場合じゃ無いわ! 早くあの子を探さなきゃ。可愛いあの子に万一のことがあったらどうするの? さ、行きましょう。ローラを見つけなきゃ!」
    「そうね!」
    「そうしましょう!!」
    「さ、行くわよ!!」
     メリーウェザーの号令一下、三人は小屋の扉を開け森の中へと入って行ったのだった。


     その頃、ローズは父王の城を目指そうとしていた。はるか彼方にそびえる城は随分と遠く見え、自分の足で歩いていては夜までにたどり着けるかすらわからなかった。
     そこでローズは、友達の助けを借りることにした。
     遊び仲間の一角獣ユニコーンを見つけると、気の乗らない様子の彼を口説き落としてその背にまたがり、森を抜けて荒野ムーアを横切り、父王ステファンの城を目指したのだ。その顔には思いつめた表情が浮かび、口元はきりっと引き結ばれていた。
     道すがら、ローズは一角獣に話しかけた。
    「私ね、お城にお父様がいるというのなら、会って本当のことを教えて欲しい。私が産まれる前に何があったのか、なんで私が呪われてしまったのか……」
     人語を話さない一角獣は、ただ頭を上下に振って共感を示すだけだったが、それでも話を聞いてくれる者がいるというだけで、随分と励まされるのだった。
     そんな彼女を見下ろす高空には、大鴉おおがらすのディアヴァルの姿があった。森からずっと、後をつけてきたのだ。
     これまでの彼女の様子を見ていると、荒野の動物であっても彼女を傷つけるとは思えなかったが、人間が相手となると話はまた別だ。万一のことがあったら、すぐ助けを求めに戻るつもりだった。
     それに、何より気になるではないか。彼女の父親が、彼女に何を教え、彼女はそれをどう受け止めるのか。彼は、主の為にも、自分自身の好奇心や心配からも、それを知りたかったのだ。


     夕暮れが近づいてきた。
     そういえば、今日は彼女の誕生日ではなかったか……?
     国中の糸車はすべて、王が命じて焼き捨てさせたはずだった。でも、ディアヴァルは心配だった。マレフィセントの魔力の強さを身を持って知っていたから。
     もう少しだ。もう少しで呪いの期限は終わる。どうか、どうか、今日という日よ、無事に過ぎ去ってくれ……。ローズよ、道を急がないで。城には何が待っているかわからないのだから……。
     しかし、ローズは日が落ちる前に城門へとたどり着いた。
     ローズが城門の前で一角獣ユニコーンから降り立つと、二人の門衛の目は一角獣に釘付けになった。口をぽかんと開けてまじまじと一角獣を見つめている。だがローズは、それには構わず門衛に声をかけた。
    「ここはステファン王のお城ですよね? 私はろ……いえ、オーロラ。王の娘です。父に会いに来たの。中に入れて下さいませんか?」
     一角獣を魅入みいられたように見つめていた門衛たちは、その声に我に返って改めてローズの顔をみた。この小娘が本当に王の娘? でも一角獣を乗りこなすなんて、常人に出来ることではない。いきなり追い払ったりせずに、確認した方が良さそうだ……。二人は顔を見合わせるとうなづきあった。下手なことをして首が飛ぶのはまっぴらだ。
    「少しここでお待ち下さい。確認してまいります」
     門衛の片割れがそう言って、相方に目配せし、門の奥へと消えていった。残った門衛は、彼女に向かってもう一度「少々お待ち下さい」と言うと、直立不動の姿勢に戻ったのだった。
     ほどなく、門衛が戻ってきて、入城の許可が出たことを伝え、彼女を案内して城の中へと導き入れた。
     ローズの姿は、城の中へと消えていった。
     とうとう、行ってしまった……。城に忍び込んで、彼女を見守らなければ。
     ディアヴァルは高くそびえる城を見上げた。城の背後には壮大な夕焼けが広がっていた。城の壁も、尖塔の屋根も、全てが茜色に染め上げられている。
     まるで血の海のようだ……。ディアヴァルは不吉な予感に身を震わせるのだった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    銀鳩堂

    PROGRESS【シリーズ移植のお知らせ】第一話は最終話(⑮話)に回収され消滅しました。このファイルは初期版の保存のため残してあります。校正済みのシリーズ最新版はpixivへお願いします。
    pixivのシリーズ目次URL
    https://www.pixiv.net/novel/series/8421068
    (2022.01.27.書き換え。書き換え前のキャプションは本文冒頭に転載して保存)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第1話「茨の魔女の敗北」【初期版キャプション保存】
    ヤンクロ第1話「茨の魔女の敗北」TEXT版
     クロウリー学園長の過去話(捏造200%)を連載中。完走したら多分あちこち修正が入ると思います。(話が途中で矛盾したりするかもしれず…)
     画像版だけ「第一章」って書いちゃったけど第一話ですね…。後々校正する都合でテキスト版もUPしました。今後はTwitterには文庫ページメーカー画像を投稿、こちらはテキストで行きます。



    ~*~*~ 本文(修正なし)~*~*~


     轟音ごうおんと共に鮮やかな黄緑の炎が吹き出し、橋の上を舐めるように走る。
     そのみなもとには巨大なドラゴン。裂けよとばかりに開いたあぎとを閉じると、上体をそらし、振り上げた前足を力強く足下へと振り下ろす。筋肉の動きにつれて金属光沢を帯びた鱗がうねる。陽光を反射し輝くさざ波がドラゴンの体表を走る。
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