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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第二部20話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の20話。
    ハントマンと姫を森へと送り出した女王は、鏡を通して二人を監視していた。
    ハントマンが帰還したとき、女王は……。
    (本文約1200文字/豆知識約900文字)
    今回ちょい短めですみません。次のパートとの幕間のような感じで読んで頂ければ。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑳話「女王の裁き」 女王は鏡の中の光景を食い入るように見つめていた。
     鏡をのぞく目はけわしく、その手は爪が手のひらに食い込むのではと思うほどに握りしめられている。
     そこに映っているのは、スノーホワイト姫が森の奥の小人の家に入り込み、安らかに眠りに付いた様子だった。
     と、ゆらりと波立つように景色が崩れた。
     鏡のおもてを緑の煙が覆い、その中からあの黒いレースの様な隈取くまどり模様のある男の顔が浮かぶ。
     女王は片手を振って「もうよい、下がれ」とだけ言った。
     再び鏡の中に緑の煙が立ち込め、それが晴れたときには男の顔はもうなかった。しかし、男が消えたあとも部屋に張り詰めた緊張は緩むこと無く、ディアヴァルは我知らずうなじの羽毛を逆立てていた。
     女王はしばし考え込んでいたが、ディアヴァルを連れて地下室へと降りてゆき、そこである薬を調合した……。

     ほどなく、一人と一羽は地下の通路を進んでいた。城の外へと通じる秘密の通路だ。松明を頼りに進むと、一つの部屋に出た。
     そこにはあのハントマンが待っていた。
     おびえた顔だ、とディアヴァルは思った。内心の恐怖を必死に隠しているに違いない。
     ハントマンはあの金縁の赤い小箱を捧げるように持ち、無表情を装おうとしながら立っている。だが腰が引けているから、背中が丸まっていて、見るからに及び腰になっていた。
    「首尾はどうだえ?」と女王が問う。
    「ここに(と言ってつばを飲み込み)……姫様の心臓をお持ちしました」
     そういってハントマンは箱を差し出した。
    ふたを開けよ」
     ハントマンは無言で箱の蓋を開け、改めて捧げ持つ。その中には、あかく血にまみれた心臓が一つ、入っていた。
     女王は頭をそびやかし、見下すようにハントマンを見つめながら箱に手をかざした。その手からぽとぽとと緑の液体がしたたる。女王の手にはいつの間にか、小さな水晶の小瓶が握られていた。小瓶の中身が注がれるにつれて、小箱の中からもうもうと緑の煙が立ち上った。
     ハントマンはへっぴり腰で震えながらも、箱を捧げ持ち続けている。
     と、煙がますます濃くなり、渦を巻いて固まり始め、次第に何かの形を現し始めた。
     瞬きするほどの時間ののち、そこには緑の煙で出来た大きなイノシシが立ちはだかっていた。それを見たハントマンはついに腰を抜かしてその場にへたり込んだ。
    「お前が裏切ったのは分かっている。これが裁きだよ」
     そう言って、女王が片手を振ると、緑のイノシシがハントマンに覆いかぶさった。イノシシの下から苦しげなうめき声が聞こえ、手足が闇雲にふりまわされた。が、その手足もすぐに力なく投げ出され動かなくなった。
     女王が片手をもう一度振ると、イノシシは煙の塊となってハントマンの身体を覆い、もうひと振りするとするすると小瓶の中へ戻っていった。
     そして、煙が消えた後には何も残ってはいなかった。
    「やはり野ブタの心臓か。ハントマンめ、しくじりおって……。さて、どうしたものか……」
     女王はそう呟きながら、ディアヴァルの喉を撫でるのだった。











    【豆知識】
    今回のギミックで豚の形の毒の煙を描いたのですが、生身の豚もなかなか怖いよ、というお話をご紹介します。
    都市で暮らしていると、リアルな動物の姿を見る機会はめったにありませんよね。人間は色々な家畜を飼育して、食肉にしていますが、家畜が逆に人間を食べてしまうことがあります。
    そういう事件を一番起こしている動物は、おそらく豚だろうと思います。
    人間を豚が食べてしまう事件があることは「豚 事故」でぐぐると、「豚が人間を食べる」がサジェストされる程度には知られた事実です。
    そして「豚が人間を食べる」で検索すると、怖い話がいっぱい出てきます。
    おそらくは何かの発作で餌やり中に倒れ、そのまま食べつくされてしまった人の話とか…。残っているのがわずかな骨だけなので、死因は特定できなかった(=襲われたのか発作で倒れたのかわからなかった)とか…。
    一例として記事を張っておきます。

    ・残っていたのは骨の破片だけ…
     養豚家、「飼い豚」に体のほとんどを食べられる
    https://courrier.jp/news/archives/189313/

    関連情報。
    豚が肉が大好きだという話を知恵袋で見つけたので添付。
    https://bit.ly/3NikUGt
    以下引用。
    「草食に近い雑食のブタですが、実は、とても肉(動物性タンパク質)を好みます。
    たとえば鶏卵を与えると、目の色を変えて食べます。
    回答者が、学生時代、体重300kgを超える種豚の飼育スペースを掃除する際には、まず、鶏舎に行って、何個か鶏卵を採ってきて、それを食べさせている間に、ちゃちゃっと終わらせていました。フリーにしておくと怖いので。」
    だそうで。同じ知恵袋にデュロックという品種が紹介されていますが、「デュロック」で画像検索をかけると「もののけ姫」の乙事主おっことぬしみたいな豚の画像がずらっと出てきます。なかなか壮観でした。

    アメリカの巨大野ブタについての記事。こんなのが森の中にいたら…!
    ・未確認モンスターを追え! 『謎の巨大ブタ "メガホッグ"』
    http://nazo108.sblo.jp/article/95081043.html

    以上です。
    (ポイピクだとリンクを踏んで飛べないのが申し訳ないです。pixiv移植時に参考資料タブに入れてみます。そこから飛べたら楽なんだけど出来るかな…)
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    銀鳩堂

    PROGRESS【シリーズ移植のお知らせ】第一話は最終話(⑮話)に回収され消滅しました。このファイルは初期版の保存のため残してあります。校正済みのシリーズ最新版はpixivへお願いします。
    pixivのシリーズ目次URL
    https://www.pixiv.net/novel/series/8421068
    (2022.01.27.書き換え。書き換え前のキャプションは本文冒頭に転載して保存)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第1話「茨の魔女の敗北」【初期版キャプション保存】
    ヤンクロ第1話「茨の魔女の敗北」TEXT版
     クロウリー学園長の過去話(捏造200%)を連載中。完走したら多分あちこち修正が入ると思います。(話が途中で矛盾したりするかもしれず…)
     画像版だけ「第一章」って書いちゃったけど第一話ですね…。後々校正する都合でテキスト版もUPしました。今後はTwitterには文庫ページメーカー画像を投稿、こちらはテキストで行きます。



    ~*~*~ 本文(修正なし)~*~*~


     轟音ごうおんと共に鮮やかな黄緑の炎が吹き出し、橋の上を舐めるように走る。
     そのみなもとには巨大なドラゴン。裂けよとばかりに開いたあぎとを閉じると、上体をそらし、振り上げた前足を力強く足下へと振り下ろす。筋肉の動きにつれて金属光沢を帯びた鱗がうねる。陽光を反射し輝くさざ波がドラゴンの体表を走る。
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