本当のさよなら(真エンド)私は「銀の鍵」に寄生され、何度も何度もループを繰り返してきた
そして、前の宇宙で「君」と別れた
「銀の鍵」が創り出した扉をくぐり抜けた先のこの宇宙で、私はまたループを繰り返すのだろう
「君」が居ない……この宇宙で
セツ「わかった?」
この宇宙の、「君」ではない君に、話しかけた
はずだった__
セチア「映画の途中で寝ちゃうなんて、ワクワクしながら解説してくれたしげみちにちょっと失礼だったんじゃないかな?」
それなのに
「君」はまた、私の前に現れた
セチア「そんなの当然、セツを助け出したいから、だよ。あんなに寂しいお別れの仕方して、私が黙ってるわけないでしょう?」
私を、救うために
……ああ、これは、最後の贈り物、なのかな
セツ「この世界で終わらせよう。君に会えた、この世界で」
セチア「うんっ!」
君が救いに来てくれたのだから____
議論は一人の犠牲者も出さずに進んだ
セチア「凄かったよ、セツ。今まで、ずっと頑張ってきたもんね」
セツ「ありがとう。そう言って貰えると、安心できるよ」
セツ「……うん。カランには、見て欲しかったんだ」
セツ「私も、強くなれたんだって。」
セツ「もう大丈夫だよって。カランに……」
セツ「……」
セツ「行こう、カラン。「扉」を、開けよう」
(セチアがククルシカの居なくなった場所を呆然と見つめる)
マナン__ククルシカが扉を抜けた。この船にグノーシア汚染者は居なくなった
LeVi「間もなく空間転移を行います。セチア様、セツ様。自室にお戻りくださいませ」
セツ「いや、ここでいいんだ」
LeVi「承知いたしました。せめて転移の際には、横になっておいてくださいね」
セツ「わかった。……ありがとう、ステラ」
LeVi「ふふっ、いいえ。あ、さきほどSQ様の意識が戻ったようですよ。ジナ様が付き添っていらっしゃいます」
セツ「そう……なんだ!良かった、これで……」
セツ「本当に……終わるん、だね。これからは、この宇宙で、生きていけるんだ……」
セツ「……私は、ね。カラン。前に扉をくぐった時、覚悟していたんだ」
セツ「もう二度と、カランには会えない。カランのいない世界で、ずっとループし続けることになるんだ、と」
セツ「そう、思っていたんだ。」
セツ「……私は、それでいいと、思っていたのに」
セツ「カランが、また会いに来てくれて。私を、救ってくれた。私のループを、終わらせてくれた……」
セツ「……ふふっ。今なら夕里子の言っていた事もわかるよ」
セツ「やはり君はイレギュラーなんだ。「銀の鍵」によって歪んでしまった宇宙に現れる、特異な存在」
セツ「もう一度だけ、この世界に来てくれた……私のための、イレギュラー」
セツ「きっと、今度こそ……本当に、お別れだね」
セツ「私の事は忘れて、カランはカランの残った宇宙で生きるんだ」
セチア「無理だよ、そんなこと」
セチア「私、凄く記憶力が良いの」
セチア「だから、セツが無かったことにしないでくれたおかげで、一生忘れられないよ」
セツ「……」
セツ「ふ……」
セツ「あぁ、カラン、君は……本当に……」
LeVi「空間転移まで、カウントダウンをいたします」
セツ「時間、だね。横になっておこうか、カラン」
LeVi「10、9……」
セツ「……ね、カラン」
LeVi「6……」
セツ「私は、ここにいる。そして君も、そこにいるだろう?」
LeVi「4……」
セツ「それだけで充分なんだ。だから____」
LeVi「1……」
セツ「ありがとう。「君」が、そこに居てくれて」
セチア「……。」
カラン「」(ただ優しく笑う)