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    v_ran_tan

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    v_ran_tan

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    現パロで、旅行するオーカイと忘れ物。
    おばか投票に参加して頂き、ありがとうございました!

    あ、と声を漏らしたのはカインだった。
    「……財布、無くした…。」
    「は」
    カインが肩に掛けた鞄の口を引っ張って中を見せると、オーエンは盛大に溜息をついた。
    「ほんと、馬鹿じゃないの。忘れ物ないかって言ってたのはおまえの癖に。」
    「あー、それはそうなんだが…すまん。多分旅館に忘れたんだと思う。電話していいか」
    問にオーエンは早くしろ、と睨んで返し、カインはもう一度小さく謝ってスマホを取り出した。
    手紙型のアイコンをタップし、目的のメールに羅列された文字から電話番号を見つけ出してタップする。
    「…あ、もしもし。あの、一昨日から2泊したものなんですけど、財布の忘れ物ってありませんでしたか」
    『────────』
    「えっと、部屋は…」
    「望月。」
    「望月の間です。はい……はい、分かりました。」
    記憶を辿るカインの視線の先で、テーブルに頬杖をついて、オーエンはカインが聞くより早く面倒くさそうに答えを寄越した。
    通話口からどこかで聞いたことのあるクラシックが鳴っているのを確認して、カインはオーエンに片手を上げて礼を言う。
    「はい、あ、それです!そう!その茶色の!えっローショ、〜ッあ、いや何でもっ!はい、今から取りに伺うので、お願いします」
    1時間程で、と大凡の時間を伝えて電話を切ると、自分を見てニヤニヤと口元を歪めているオーエンと目が合い、電話口で告げられた言葉に昨夜のことを思い出しかけ、カインは慌てて頭を振る。
    「…は、早く出よう、オーエン。」
    周りの視線が痛い、とカインは大きな体を小さくし、居心地悪そうにそっと周囲へ視線をやる。時刻はお昼時、ざわつく店内でもカインの大きな声は周りへ届いてしまったのだ。
    「こんな昼間からローションだなんて、変態だね、カインは。」
    「なっ、ちがッ」
    さっきまでの不機嫌はどこへいったのか、けらけらと笑う姿に突っかかるカインを軽くいなして、オーエンは机に置かれた伝票を手に席を立った。
    「あ、おい待て 俺も払っ…」
    「財布がないのに」
    「あ、あー…後で返すから、とりあえず頼む…」
    「いいよ。ツケにしておいてあげる。」
    ツケ。利子が怖くてしたくない気持ちでいっぱいだったが、カインには頷く以外に選択肢はなかった。なんせ、財布が無いのだから。




    今朝方出発した宿に逆戻り。茶色の内装に、オレンジのライト。ほう、と思わず息が漏れてしまうような、暖かな空間。
    「いらっしゃいませ。」
    「あ、えーっと、さっき電話をした者なんだが…」
    「ああ お忘れ物ですね 少々お待ちください。」
    お土産コーナーの隣に並ぶカウンターでカインが声を掛けると、薄い桃色の和装に身を包んだ女性がパタパタと扉の奥へ消えていき、すぐに両手に袋を持って戻ってきた。
    「こちらでお間違いないですか」
    「あっ、は、はい…」
    半透明の袋から取り出されたのは2品。茶色い革製の財布と、オレンジの蓋の太めのボトル。ぎょっとして肩を跳ねさせるカインと、その半歩後ろで肩を揺らすオーエン。その気配に、カインはオーエンを睨んだ。
    「なぁに」
    「別になんでもないが って、あ、すみません!ああありがとうございました」
    カウンターの上に置かれた2つの品を鷲掴んで、鞄の中に急いで隠すと、薄ら笑いを浮かべたままのオーエンを急かしてそそくさと旅館を後にした。
    「おまえだって忘れ物してるじゃないか」
    「みたいだね。せっかくだし、それも使ってしまえばよかったね」
    「ふ、ふざけるな馬鹿」
    昨夜のことが脳裏に過ぎると同時に、酷使した腰が思い出したように鈍痛を訴える。
    「せっかく保管しておいてくれたんだし、帰ったらまたそれで遊ぼうか。」
    「絶っっっ対に 嫌だ」






    オーエンとカインが去った後の旅館にて。

    2人の姿が見えなくなると、きちんと臍の前で手を組み、前を見据えたまま左の女性は口を開いた。

    ─やっぱり望月の間のお客様って、男性2人組でしたよね。
    ─えらく顔のいい2人だったけど、まさかそういう関係だったとは…でも、ローションは開いてなかったし、お部屋でえっちはしてないのかしらね
    ─あ、それが部屋のゴミ箱の中に空のやつが2本捨ててあったみたいですよ〜。そのお部屋の今日の清掃、〇〇さんで、さっき忘れ物持ってきてくれた時に言ってました
    ─へぇ〜。それは随分お盛んなことで…
    ─あれ、どっちがどっちですかね
    ─こら お客様のことを無闇矢鱈と詮索するんじゃないの
    ─ええ〜だって、気になるじゃないですか〜。2人ともあんなに顔がいいんですよ ロマンでしょ 私的にはやっぱり銀髪の方が細いし、なんか可愛い顔してたので赤髪×銀髪と思うんですよね〜。
    ─いやいや、ああいうのは体格がいい方が受けって相場は決まってるの つまり銀髪×赤髪よ 受け取りに来た時のあの様子見たでしょ あの銀髪の楽しそうな顔 あれはいい趣味してるわ。赤髪の子なんて真っ赤になっちゃってね〜、すっごい可愛かったわぁ〜。
    ─いやいや、自分もかなり妄想してるじゃないですか
    ─あらやだ私ったら…欲望に抗えなくてつい…
    ─あはは あ〜正解が知りたいですね〜。
    ─そうねぇ。正解が知りたいわねぇ。
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    shiro4_27

    MOURNINGオーカイと猫、両片想い?なのだろうかこれは
    設定とか文章がいろいろおかしい

    文字書きさんはほんとすごいと思う、尊敬する………………
    オーエン  


    いつからかは知らない。
    思い出そうとも思わない。
    ただ明確に。
    確実に。
    自分の中で瞳を交換した男が面倒な存在になった。

    「苛立つ。」

    小さく呟く。

    姿が見えていれば、一つ一つの行動に感情が波のように揺れる。
    それが鬱陶しくて、姿を見ないようにすれば何故か気にかかってあの、赤い色を無意識に追う自分がいる。
    今日は後者だ。
    カインの姿を朝から一度も見ていない。
    別にそれで全く問題ないはずなのに、つい、偶然会った賢者に居場所を聞いてしまい、そして知っていたことに思わず渋面を作った。
    何がしたいんだ、自分は。




    飽きもせず、何度も何度も。
    木刀を持ち上げ、振るい、また構え何もない空間に向かって下す。
    その度に赤い髪がぱらぱらと跳ね上がって宙を舞う。

    「鬱陶しそう。」

    ポツリと呟いて切ればいいのに、と頭の中で短髪になったカインの姿を描いて
    似合わないな、と無造作に思考を追いやる。
    あぁ、でも。
    少しだけ頭に描いた短髪のカインを追いかけて捕まえて、正面からまじまじと見ると
    なかなかどうして。
    伸ばされた前髪がなくて、自分が与えた瞳がよく見えて案外いいかもしれない 7273

    v_ran_tan

    MAIKING現パロのオーカイが温泉旅館でのんびりするお話。現パロなので因縁は消し飛んだしオエの情緒が育っている。半袖で過ごすには少しばかり寒くなってきた頃、俺はオーエンと温泉旅行に来ている。
    全国各所に人気の温泉街があるが、ここも有名な温泉街のひとつだ。
    テレビでたまたま温泉特集を見て、行きたい、と俺が何の気なしに放った一言が切っ掛けだ。じゃあ今週末、だなんてオーエンが言い出すものだから、慌てて止めたのが懐かしい。今月は買い物をし過ぎたから金欠だった。だが、それを伝えるとオーエンは自分が全額出すのだから関係ない、とばっさり。
    確かにオーエンは俺より6歳も歳上で、仕事もしていて、かなり稼いでいる。パソコンで仕事をしている、ということしか知らないけれど、見るからに高そうなマンションに住んでいるし、着ている物もブランド物ばかりだ。だからきっと、オーエンにとって2人分の旅費を出すことなんて痛くも痒くも無いのだろうけれど、それは俺が嫌だった。
    俺はまだ学生で、色々な面で限界はあるけれど、オーエンとはできるだけ対等でいたい。だから、オーエンに全て頼るのは、嫌だ。
    俺はオーエンのお金目当てで付き合っているわけではないから。2人で楽しむ為なら、自分もその分の出資をしたい。
    自分も出す、と言ったら、資金溜まるまで 4158