トーク・アバウト・ア・ボーイ 人間の頭を躊躇することなくぶっ叩けるようになった子どもについて話をしよう。
そんなことができるなんて、最悪なガキだって思うだろ?
俺もそう思う。
ケチのつき始めは小学生のときだった。火事で家が焼けた。
自宅は父親と母親が思い切り背伸びをして建てたローン三十八年の新築一戸建てで、そこで家族全員が仲良く暮らすことが両親の夢だった。
夢はあっけなく崩れた。まず、ローンのたっぷり残った家が、跡形もなく無くなった。次に、姉の赤音が全身に火傷を負った。同じ火傷でも、俺は比較的軽症で早々に退院したけれど、赤音は相当重症で入院したっきりになった。
最後の、「仲良く暮らす」という点についても触れておこう。
赤音がまだ生きていたとき、家族の心は一つだったと思う。皆、頻繁に病院に見舞いに行ったし、特に母親は赤音の病室に泊まり込んで、一生懸命に赤音のケアをしていた。ある意味で、赤音の病室が一つの家として機能してた。
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