スーツ「ッはぁ~~~。無理、このスーツ着てなんでこんなに品があんの大寿くん。無理、本当に無理。一生好き。」
「何度目だそれ。」
目の前で恍惚の表情を見せる三ツ谷に、大寿は溜息を吐いた。
――
今日参加するレセプションパーティーのテーマは〝花鳥風月の夜〟。ドレスコードもそれに準じたものでというハードルの高い要求に、頭を抱えた大寿は帰宅早々に三ツ谷を頼った。着物はどうか。目立つなら袴も良いかも。と1人ブツブツ呟いて三ツ谷が突然
「あ!」
と声を上げて立ち上がる。
「ちょっとアトリエ行ってくるから待ってて! すぐ戻る」
インパルスを飛ばして本当にすぐ戻ってきた三ツ谷が手に持っていたのは、決して普段着では着れないであろう派手な和柄が幾つも刺繍された紫のスーツと、これまた豪華な和柄がプリントされた紫のシャツだった。
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