金魚売りと狐の少年むかしむかし、あるところに小さな村がありました。
四方を山に囲まれた村には段々畑が広がり、村を半分に割るように小さな川が流れていました。
村人たちは夜明け前から畑に出向き、朝日と共に東の山を越えて隣り町まで野菜を売りに行き、魚や塩、道具を仕入れて帰ってきました。
山の麓と頂上にはお社があり、村人たちは昇ってくる太陽を朝に二回拝みました。
そして夕方、村人たちが村に帰ってくる時は東の山から西に沈む太陽を拝みました。西の山にもお社がありましたが、行商に行く村人たちが訪れることはあまりありませんでした。代わりに子どもたちが一日一度、お供え物を持って山の上まで登ります。前の日に供えた物は笹舟を作って川に流しました。
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