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    96noScull

    @96noScull
    まいたけメイン武受けスキーですがかっこいいみっちも好きなのでたけまいになることもあります

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    96noScull

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    まいきおたおめ。なるべく明るいのを…と思った結果転生&みっち女体化です。
    ちなみにタイトルはらっどうぃんぷすの曲がイメソンなので。PV見てからだとわかりやすいと思われ。たけひなとどらえまが成立しています。

    #マイ武

    オーダーメイド「嘘だろ…」
     オレはあまりの衝撃に口元を抑えた。
     花垣道日、5歳。母親の名前は花垣日向。ヒナの子供に生まれ変わってしまった。
     ボーリング場の廃ビルからマイキー君と落ちた後、まぁあっけなく死んだようで。
     それはわかるよ。失血量半端じゃなかったからあれで生き残ってたらオレバケモンだよね。
     それはそうとして、花垣武道はちゃんとヒナと結婚している。オレの父親だ。
    ………はぁ?
    誰だお前!! いや顔も性格も職業レンタルDVD店店長なのもひっくるめて花垣武道その人なんだけど!!
     ミチカ~ただいま~パパだぞ~ってデレデレ頬ずりしてくる顔の近さで間違うはずもなく。
     オレじゃねーかよ…じゃあオレは何なんだ。
     そう、名前はミチカ。今のオレは女だ。
     くりくりの天パに青い目、花垣武道をそのまま女に替えました!って姿なんだよね。
     ヒナは女の子らしくしようって髪を伸ばそうとしてるけど、オレは短い方がいいってだだこねて。
     魔法少女より戦隊もの派。
     たまに遊びに来る溝中五人衆たちはアッ君以外まだ独身のようで、やたら手土産にお菓子やら戦隊ものの玩具やらくれるからヒナから怒られてたっけ。
     たまに千冬も来てくれる。思い出したことを話したらどんな反応をするだろうか。
     思い返せばやんちゃが過ぎるゆえに女の子からは敬遠され、男の子からは「女のくせに」と照れやら何やら混じった感じでなかなか仲間に入れてもらえなかった。今思えば異質さを感じ取ってたのかな子供たち。
     故にぼっち。前世と違い幼馴染もおらず共働きのヒナが仕事に行っている間は、近所のおばあさんに預けられ(ているけど抜け出して公園に行っている)一人でジャングルジムに登ったり砂場で城を作ったりとなかなか寂しい有様である。
     そういえば珍しいジグソーパズルあげるって言うおっちゃんについていきそうになったこともあったな。あぶねぇあぶねぇ。女の子って危険が多いんだな。ズボンしか履かないからぱっと見じゃわかんねーみたいだけども。
     今日はちょっと遠出をしてみようか、とブラブラ歩く。
     ポケットには飴玉と防犯ブザー、500円ちょいのお小遣いの入った小さいがまぐち。ハンカチとティッシュを持ち歩けと怒られるけど、ポケットがごわつくのが嫌なのは男ならわかってもらえるだろう。ていうか女の子って手ぶらの子ほとんどいないよな。
     足を延ばした先の公園で、何やら子供の怒号が聞こえる。
     一人を取り囲んでいる様子に思わず駆け出して、
    「ヒーロー見参!!」
    一番でかい子供に飛び蹴りを食らわせた。
    「やまちゃん!!」「おめー誰だコラ!!」なんて敵意が一斉にこっちを向く。
     いじめられていた子は無事だろうか。チラ見したら、見覚えのある金髪。
     真っ黒な目は大きく見開かれ、ぽろぽろ涙を流していた。
     似てる。けど、あの子はもっと飄々としてるはず。
     早く逃げな、と目で合図して。
    「自分より小さい子囲んでボコるなんてだっせーな!!
    年少組からやり直せよ!!」
     啖呵を切った。あーあ、また傷だらけの泥だらけになってヒナに怒られるなぁ。
     拳を振り上げた子供が視界の端に見えた。別な子供は逃がさないように肩を掴んでくる。
     歯を食いしばって来る衝撃に備えた。
     ………。
     ………?
     そろりと目を開けると、殴りかかってきた子供たちはすすり泣きしながら地面に倒れていた。
    「お前、勇気があんね。
    名前は?」
     さっきまで泣いていた子供がにかり、と既視感のある顔で笑う。
    「はな…はながき…みちか」
    「花垣…花垣ね」
     そうか、と再び目を潤ませるので、慌ててポケットから飴を取り出した。
    「やる」
     助けに入ったつもりが結局助けられた。いたたまれなくなりそのまま公園を飛び出した。

     今日は世話になった人が遊びに来るんだ。向こうのお子さんもミチカと同じくらいの年だから友達になれるかもしれないぞ、って仕事から帰った父親が嬉しそうに言う。
     東卍の結婚した誰かが来るのかな。ちょっと楽しみだ。
    「よータケミっち」
    「ヒナ、遊びに来たよー」
     ドラケン君、エマちゃん。
     狭い団地の扉をくぐる大きな体。その後ろを小さな女性がとことこくっついて歩いてきた。
     うそ。だって二人とも…。
     混乱。だけども喜びが勝って。
    「エマちゃん、あれ?
    イザナ君は?」
    「面倒だから留守番するってさ。
    その代わり弟の方の…ありゃ、ミチカちゃんだったよね?
    すごい泣いてるけど大丈夫?」
     えっ、と振り返るヒナ。もう一人の武道があせって、もらい泣きしそうになっている。
     だって、この光景を見たかった。
     マイキー君。君の見たかった光景だよね。
     次から次に溢れてくる涙。
     ドラケン君が「オレのことやっぱ怖かったのかな」としょげている。
     違うよ。君が誰より優しいの、知ってるから。
     そしてドラケン君の後ろから、もう一人の小さな影。

    「タケミっち…」
    「マイキー君!」

     今日、公園で会った子だった。おかっぱ頭で真っ黒な瞳、ぱっと見女の子と間違えるような愛らしい顔立ち。
    「お前がタケミっちだな」
     マイキー君の目からも涙が盛り上がってきた。
     二人抱き合ってわんわん泣く子供たちに、「まるで前世ロミオとジュリエットだったみたいな…恋人だったのかしらねぇ」なんて呑気に宣う母親たち。父親たちは複雑そうで、特にウチの父親は「まだ早いよ」とごにょごにょ文句を言っていた。

     泣きつかれて、二人して眠ってしまったらしい。
     目が覚めたら夜九時過ぎ。大人たちが飲んでしゃべる声が子供部屋に聞こえてきた。
    「腹減ったな」
     隣で呟く声に、マイキー君も目が覚めたんだ、とふわふわ思った。
     現実感がないし、泣きすぎて喉からから目ぶたも重い。
    「この顔ちょっと恥ずかしいっスけどねぇ」
     くすくす笑えば、だな、と笑い返してくれる。
    「マイキー君のお父さんとお母さんって…」
    「そ、ケンちんとエマ。兄貴がイザナ。
    オレいっつもイザナに泣かされてた」
     あのマイキー君が。
     辛くてもずっと我慢していたマイキー君。人前で泣けなかったマイキー君。
    「ここ…あの未来じゃないんスね。
    今、幸せですか」
    「お前がいないから、毎日泣いてたよ」

    「あ~~オレ…今女の子なんすよね…」
    言いづらくて布団の中で足をもじもじさせる。股間にあったものがないのだ。つらい。
    「マジ!?
    わぁ…結婚出来るじゃん」
    「は?」

    泣き顔が嘘のようにぴかぴかの笑顔を見せるマイキー君。
    何故だろう、何かのフラグが立った気がした。


    おわり


    「ねぇ、君まだここにいたの?
    もう皆行っちゃったよ?」
     うるせーな。
     ここは居心地がいいし、無理に出ていく必要ないじゃん。
    「でもさ、きっとみんな待ってるよ。
    ここにいてもひとりぼっちだし、絶対つまんないよ」
     お前がいるじゃん。
     お前がなんかしゃべってよ。
    「横暴だなぁ…じゃあさ、外に行くための練習。
    君はどんな人になりたい?」

     強くなりたい。
     誰にも傷つけられない。無敵になりたい。
    「そっか」
     でも、誰も傷つけたくない。
     無敵になったら、誰よりも強いってことだろ?
     そしたら独りだ。だったらここにいたい。
    「だったらさ、優しい人になったらいいよ」
     優しいって、なんだよ。
     弱いってことだろ。
    「そうだね、優しいだけじゃ弱いよ。
    でも優しくすれば、優しくしてもらえるよ」
     意味わかんね。見返りが欲しいだけじゃん。
    「そうだね、でも優しくしてもらえると幸せになれるよ。
    例え未来で辛いことが起きても、優しくしてもらったことは忘れないもんだよ」
     なんだそれ。
    「じゃあさ、見た目は?
    どんなふうになりたい?」
     身長は2mで、筋肉モリモリ。
    「へ…へー…」
     あ、タコって心臓が3つあるんだろ?
     じゃあオレも心臓2つは欲しいな。一つやられてももう一つが残ってれば負けねぇじゃん。
    「何と戦う気でいるのさ…
    でも心臓は一個でいいと思うよ。こうやってさ。
    抱きしめるとさ、左はオレので右は君の、キミにとっては逆でしょ。
    誰かを抱きしめるためにさ、心臓は一個の方がいいよ」
     お前、オレを本当に外に出してーの?
     オレの要望聞けよ。
    「強くなくていいよ。弱くていい。
    君はみんなに愛されてるから、弱い君も抱きしめてくれるよ。
    弱いところを見せるのは勇気がいるよ。
    でも君はちゃんと勇気があるでしょ」
     ………。
    「最後にオプションがあるんだった。
    涙に味が付けられるんだ。
    甘くしたり酸っぱくしたり、しょっぱくしたりさ。
    どんな味がいい?
    まぁ、オプションいらないって人もいるけどさ。でもみんなつけてったよ」
     そんな不完全な生き物、生きていけないよ。
    「不完全だから、誰かに助けてもらって、誰かに一緒にいてほしいって思うんだよ。
    生まれた時から完全なら、それ以上の物もいらないじゃない。
    そんなの、寂しいよ」

    「君は無敵で、泣かない人だったけど、誰より寂しがり屋だった。
    独りぼっちになっちゃだめだよ」

     なぁ、この部屋から出る時さ、お前も一緒に来てくれる?

    「一緒には出られない。
    でもきっと、外で会えるよ」

     絶対? 嘘つくなよ。 嘘ついたら泣かすぞ。
    「うん」

     最後にさ、お前どっかで会ったことある?



    「お疲れ、武道」
     『白い部屋』を出ると、彼によく似た青年が武道をねぎらった。
    「真一郎君」
    「あいつ頑固だから大変だったろ。
    オレが出ていけば執着強くなりそうで任せちまったけど…」
    「大丈夫、今度こそマイキー君は幸せに生きていける」
     泣いていい。弱くていい。
     無敵になんてならなくていい。
    「じゃあ、次はお前の番な」
    「な…なんで」
     自分はあの時死んだ。電車の前に投げ出されて、過去の自分に入り込んだ異物。
     世界は正しく回るために異物を吐き出した。
     それが今。真一郎と武道は過酷な運命をたどった彼らをまっさらにして世界に戻す役目を任された。
     真一郎を最後に送り出すのは自分の役目だと思っていたのに。
    「本来の花垣武道はさ、万次郎とは出会わないんだろ。
    なら今のお前は万次郎のそばにいてやってよ」
    「それはあなたの役目だ」
    「違う。
    オレじゃあいつを変えられなかった。『無敵のマイキー』の敵になって、あいつをただのガキに戻したんだ。
    お前は大した奴だよ」
    「オレは…」
     兄貴みたいになってくれと言われた。それすらできなかったのに。
    「お前はオレじゃない。
    オレの真似なんかしなくていい。
    あいつがお前に傍にいてほしいって言ってるんだ。
    泣いてるあいつをほっとくのか?」
     意地悪な口調に結局根負けした。

     そして、再び君と出会う。

    「お前、勇気があんね。
    名前は?」

    「はな…はながき…みちか」



     おわり


     花垣ミチカ(道日)
     26歳の方の花垣武道。ヒナと結ばれなかったし女の子になっちゃうしで散々だけど、ヒナがちゃんと幸せになれたのを傍で見れただけマシかと達観している。
     順応性が高いので女の子としても違和感なくなっていくけど性格的なものは変わらないのでズボラ。いずれ身長も165cmまで伸びるから女の子としてはちょっとかっこいい感じ。女の子にモテるタイプの女の子に成長する。不躾なナンパや痴漢から女の子を庇ったりするので生傷絶えない(本人も気にしない)
     龍宮寺万次郎
     字面がいかつい()良い父母に恵まれ(兄とは喧嘩ばかりするけど)、可愛い許嫁(決定事項)までできて幸せ。
     みっちからの刷り込み(生まれる前の)で泣き虫になったけどアホほど強いので泣きながら暴れるさまが不良界隈で不気味がられている。
     身長は前世と変わらず。でもみっちの胸(大きくはないけどほどほどにある)に顔を埋めたいがために低く装うこともあり。
     みっちの周りの女子を味方につけお邪魔虫を追い払っている。

     花垣武道
     転生世界の過去みっち。ちゃんとヒナちゃんと結婚した。妻と娘ラブ。
     マイ武不在のまま平和に青春時代を過ごした(不良はやってた)マイ武だけ転生がだいぶ遅れたのはまいきが駄々こねたため。そしてみっちは自分が真一郎くんを見送る側だと思ってたので一番最後の転生になったから。

     真一郎くん
     みっちと一緒に転生担当やってた。まいきにはみっちが必要だと自分の枠を譲る。
     女の子にしたのは御愛嬌。


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    96noScull

    DONE最近こちらに投稿してなかったなぁと思って。表向きビデオ屋裏でころしややってる記憶なしみっちとそんなみっちを愛しく思うまいきの話が読みたい…とついったでぼやいて悶々考えた末に出来た産物。まちるだ、せいへきゆがむよね…
    マチルダは微笑む「花垣く~ん?
    またDVDの中身が違うと苦情が来たんですが洋画のコーナーは君担当でしたよねぇ~?」
    答えなくてもわかっていると言わんばかりに年下の店長がねっとりした口調で責め立てる。
    愛想笑いしながらすみません、と頭を下げれば「はいまた口だけぇ~」とあてこすられる。
    謝る以外に道がないが、謝らなければ謝らないで「どうしたんですかぁ~その口は飾りですかぁ~考える脳みそないんですかぁ~」と嫌味が倍増すること請け合いである。
    なんでこんなところにいるんだろ。バイトならいくらでもあるのに。
    でもなぜだかここから離れられない。若い店長は使えない年上のバイトなんかさっさとクビにしたいみたいだが。
    いつも店に最後まで残るのは武道だ。DVDの中身のチェックを終えると一番最後に見るものがある。お気に入りの洋画。腕利きの殺し屋がアパートの隣人の少女を汚職警官から庇い、共に過ごしていくうちに絆が芽生えるストーリー。端的に言えばハッピーエンドではない。殺し屋なんて生業である以上、主人公は幸せになるべきではないんだろう。少女に金を遺し、自分は少女の家族の仇を道連れに死ぬ。
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