【薄桜鬼SSL】土佐の声援 「てやぁぁぁっ!」
剣道の試合にて打ち込む藤堂。しかし、そんなに簡単に相手も一本取らせてくれず藤堂は苦戦を強いられていた。そんな藤堂に会場である体育館の二階から土佐弁で声援を飛ばす者が――
「藤堂!ガッツじゃ、ガッツ!」
そんな珍しい土佐弁の声援に面を被った藤堂は薄く笑みを浮かべ、そして相手の隙を突き籠手をお見舞いし、すぐさま面を打った。かくして、藤堂は土佐弁の彼によって勝利を手にすることができたのだった――。
***
「坂本さん!」
練習後、道着を着たままの状態で先ほどの声援をかけた男に駆け寄った。
「藤堂!見事な勝利じゃった。わしも鼻が高い!」
「ちょ、やめろよ~!」
わしゃわしゃと坂本は藤堂の頭を撫でた。むくれる藤堂だったが悪い悪いと言って全然悪びれていない様子で坂本は笑った。
彼の名は――、坂本龍馬。藤堂、そして教師である山南と同門の剣の道を進む男であり藤堂にとっては同門であり、教師のようなそんな存在だった。だから懐きはするし坂本もまた藤堂を可愛がっていた。
「そうじゃ、藤堂。おまん、進路は決まっちゅーのか?」
「まだだけど…」
「なら丁度えい。わしが勤めちゅー大学で剣道を教えちょってな。まあまあの強豪校じゃ、どうじゃ、藤堂さえよけりゃあ…」
「行く!俺、絶対行くから!」
尻尾を振る犬のように手を上げる藤堂に思わず坂本は笑ってまた頭を撫でた。
「分かった、分かった」
そう言って笑って、そして坂本は藤堂の背中を押す。
「みんながおんしを待ちゆー。早ういっちゃれ」
「おう!」
笑顔を向ける藤堂に手を振る坂本だった――。
-Fin-