出会えた奇跡 「このはってオレが初めて?」
ある日の熱をかわしたあった後のこと、優の言葉にこのははきょとんとしたあとこくりと頷く。
「誰かと付き合うのも?」
「優さんが初めてだよ。そういうのにずっと縁がなかったし…ああ、でも学生の頃仲介役にされてたことはあったよ」
「仲介?」
「うん、私の仲のいい友達によくモテる子がいて…ラブレター渡しといてとか呼び出してとかそういう…」
「…お人よしなところは変わらないんだな」
「…お人よし」
「いいだろ、そのおかげであんたとオレはこうした関係になってるんだし」
「そ、それもそうだね!?」
「ふ…はは、…っ」
「わ、笑わないでよ〜!!」
「笑わないとか無理」
そう言って笑う優にむっと頬を膨らませると優はその膨らんだ頬を指で押した。
「…たまに、このはともっと早く出会ってたら…なんて考える時がある。けど、今の形が最善だったのかもな」
「それは…そうかもだけど…優さんの一番辛い時に寄り添ってあげたかったな…とは思うな」
「……っ、このは……あんたって、本当…」
泣きたくなる思いを堪え、優は噛み付くように口づける。
「…優しすぎ」
「そんなこと…」
「ある」
言葉を被せくすくすと優は笑い、このはの髪を優しく梳く。
「…ほんと、このはに出会えて良かった」
そう言って優は肩に顔を埋めるようにしてこのはを抱き込んだ。
「私も…優さんに出会えて…今こうしてそばにいれて良かったなって思ってるよ」
「…うん」
声が次第に微睡んでいるのが分かってこのはもまた優の頭を撫でた。
「おやすみなさい」
そっとこのはは優の頬にキスを落とす。その優しい温もりに優は愛しい人の体温を感じながら眠りについていったーー。
-Fin-