バレンタインプレゼントはあなた 「こ、こんなに…た、食べていいの!?」
「勿論だ。自分があなたのために作ったチョコレートたちなのだから」
イーオンの言葉にごくりとティファリアは唾を飲み込んだ。
「あの、ちょっとこれ…逆じゃない!?」
「逆…とは?」
「普通…こういうのは女の子の方がというか…」
ごにょごにょと言葉を濁すティファリアにイーオンは真っ直ぐな目を返す。
「普通かどうかは分からないが…自分はあなたに食べて欲しい。それに自分にとってはあなたの、ティファリアが美味しそうに食べる様子が何よりのプレゼントだ」
「…い、イーオン…わ、わかった…じゃあ、えっと…い、いただきます」
「あぁ、召し上がってくれ」
ドキドキしながらティファリアはフォークをガトーショコラに刺し切る。そして口へと運んだ。
「わ!美味しい!」
「…よかった」
ふ、とイーオンは笑みを深めティファリアを見つめる。
「ほら、まだまだある。たくさん食べてくれ」
「…それはいいけど、イーオンも食べてくれないと意味ないよ。一緒に食べよう?」
「…ああ」
そう言って焼きたてのうずまきクッキーをイーオンは口に運んだ。
「どう?美味しい?」
「…ああ、美味いな」
「なら、もっと食べよう!だって今日は特別なバレンタインなんだから」
「…ああ」
嬉しそうに笑うティファリアに釣られ柔らかい笑みを浮かべるイーオン。自分が作った数々のお菓子を口に運んだ。
「あ〜美味しかった!」
イーオンが作ったお菓子の数々を食べ終えたティファリアは満面の笑みを溢し、そんなティファリアにイーオンも笑みを向ける。
「あなたがそうやって喜んでくれて満足だ」
「だ、だって本当に美味しかったから!」
「悪いとはいっていない…むしろ、好ましいと思う」
そう言ってイーオンはティファリアの隣に座る。そしてそのまま大きな掌をティファリアの頬に触れさせた。
「い、イーオン…?」
「ティファリア…あなたから、甘い匂いがする…」
「それはさっきまでチョコレートを食べてたからで……ーーんっ、」
喰らうように大きな唇が重ねられ思わずティファリアは目を瞑る。触れるだけのキスが何度か繰り返えされた後すり、とイーオンの手の甲がティファリアの頬に触れた。
「ティファリア…自分にあなたの熱を感じさせてくれないか」
その言葉にかっと熱が上がるのを感じながら小さく頷くと今度は深い口付けが飛んでくる。息ができないほど苦しいのに、ドロドロに溶かされてしまいそうでティファリアはしがみつくようにイーオンの背に腕を回す。それがイーオンを煽る行動とは知らずに…
「ーーーー…っ、……は…、」
「……いーおん…?」
ふわふわとした頭で、潤んだ瞳で名を呼び見上げるとふわりと優しく抱き抱えられる。この後のことを予感し期待と不安でぎゅっと腕の力を強めるティファリアに小さくイーオンは笑みを浮かべる。
「…大丈夫だ、優しくする」
「…約束よ?」
ベッドに下ろされたあとそう言ってイーオンは頷くようにティファリアの髪の一つ一つにキスを落とし、髪を解いていく。その行為はティファリアを期待させるには十分な行動で、解き終わった頃にはティファリアは真っ赤に染まっていたのだったーー。
-Fin-