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    あごだし

    @agodashiumashi
    基本文字書きの落書き置き場。

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    あごだし

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    #シチカル
    sitzcal

    スイート チョコレート フッド 月越しを超えると、学校業務というのは忙しくなる。卒業していく学生たち、入学してくる学生たち。特に、今年はアブノーマルクラスの人気が高く、入学希望者が増えたのだ。その分、業務も増えてくる。次から次に迫りくる業務に、常勤の教師たちは「三日連続、ハンモックで寝てる」「俺もだよ。今日はベッドで眠りたい」なんて会話をしていた。
     アブノーマルクラスの担任であり、筆頭教師であるカルエゴくんだって、相当お疲れのようだ。
    「あ、ぁ、ぅんん」
     うわずった艶めかしい声が、白い肌を刺激する度にあげられる。湯で温められた体は桃色に染まり、一緒に楽しんだ入浴剤の甘い香りが、まだわずかに立ち上ってきた。全裸になったせいで体が冷えないように、室温と湿度は高く保たれている。カルエゴくんの家は、バビルスより寒い場所にあるしね。
    「シチ、そこ、もっと、。あ、ぃぃ、もっとしてくれっ」
    「ここ?」
    「んんっ、そこ。いい、もっと強く」
     うつぶせになっている彼の肩甲骨から手を離し、羽管の周りを揉みしだいていく。
    「もっと激しくしてくれ」
     僕は手を止め、触れるか触れないかのフェザータッチで、ケルベロスの爪痕をなぞった。
    「ねぇ。僕、健全なマッサージしてるだけなんだから、変な声出すのやめない?」
    「や・め・な・い」
     僕の下で器用に体勢を変え、あおむけになった彼は楽しそうに笑っていた。
    「気持ちいいことに嘘はないぞ」
    「まぁ、虚偽鈴ならないしね。でも、さぁ」
    「なんだ。俺は健全じゃないマッサージでも、全然かまわないんだぞ」
     突き上げるように腰を動かしてくるもんだから、無理やりうつぶせに戻した。
    「こんなにガチガチにして」
     一日中校内を歩き回った太ももを揉むと、やっぱりイヤらしい声があがった。
    「君さ、気が付いてる?」
    「なにがだ?」
     背中の上に乗り――もちろん、体重はかけない――彼の足首を掴んで膝を折り曲げた。
    「今日、君の誕生日だよ」
    「そう……だったか?」
    「そうだよ。なのに、普通に夜遅くまで仕事しちゃってさ」
    「そういえば、ス魔ホに着信履歴がたくさんあったな」
     彼と仲良くしたい魔界中の悪魔から、おめでとうの連絡が入っていたのだろう。
    「さっきあった不在者票、あれ実家からか」
     今日はもう遅すぎて、再配達はできなかった。が、きっと今年も豪華なプレゼントが贈られてきていたのだろう。
    「で、お前からのプレゼントは?」
    「僕を怒らせて、プレゼントもらえると思ってるの?」
    「怒っているのか?」
    「怒ってます」
     僕は隠していたものを取り出して、そのドロリとした液体を彼の足裏に垂らしていく。
    「ぅん?」
     くすぐったいのか、彼の親指がピクリと揺れた。
    「君は、僕に君の誕生日を祝わせてくれなかった」
     土踏まずをマッサージしながら、ヌチャヌチャとした液体を広げていく。
    「んぅあっ」
     土踏まずを舐めると、心からの嬌声があがった。
    「シチ、ロウ、。やめろっ」
     カルエゴくんは、潔癖症なところがある。足や肛門を舐めるのを嫌がるのだ。今も足をばたつかせて逃げようとするけれど、ケルベロスを使わない抵抗なんて、抵抗のうちに入らない。
     両足首を掴んで、その足裏を同時にベロりと舐めた。
    「誕生日くらい、僕と過ごしてよ」
    「過ごしてるだろうが!」
    「僕が、まだ仕事している君の首根っこ掴んで、無理やり引っ張ってきたからね」
     両足首を掴んだまま、蔦で容器を操って、液体をとろーりと追加していく。
    「おま、ちょっ、それなんだ!!」
    「チョコレートソース」
     親指をちゅぱちゅぱとしゃぶると、甘い味と声を同時に楽しめた。
    「甘いモノが苦手な君のために、ダークチョコムースのケーキ作ったんだ。そのあまりのソース」
     抵抗がやんだ。少しは悪いと思ってくれたのかな。足首を放すと、しばしの無言が訪れた。
    「シャンパンも用意してるから、明日飲もうね」
    「すまん、シチロウ」
     スルリと抜け出したカルエゴくんは、ベッドへ座ったのだろう。僕の背中を、濡れた足で撫でてきた。
    「美味いのか、このチョコレートソース」
    「ほろ苦くて美味しいよ」
    「そうか」
     振り向くと、にゅっと足を差し出される。いつの間にか、その足首には紫色のリボンがかけられていた。
    「プレゼント、くれないのか?」
     僕は丁寧にそのリボンを解き、長い自分の髪をそれで縛った。
    「あげるよ」
     潔癖な彼が、決して好きではない行為。
     足をしゃぶった後の口づけを、僕は深く深く、贈った。
    「ん、あまり甘くないな」
    「キスは甘いでしょ?」
    「おっさんになったな、シチロウ」
    「も~」
     笑いながら、彼の踵を恭しくつかんだ。
    「同じだけ、年取ってるんだよ」
     彼にも見えるように、チョコレートソースを高い位置から垂らしていく。
     第一指と第二指の間を広げ、見せつけるようにピチャピチャと舐めていく。上ずった声が、カルエゴくんの唇から漏れる。ああ、やっぱり本物じゃないと響かないよ。
    「シチロウ。くれるのは、足にだけなのか?」
     蒸気した頬をニヒルに歪め、彼は自身の胸や腹筋を撫でている。黒い爪先が、白い肌が美味しいことを教えるようになぞっていくのだ。たまらず、小さくて丸いお尻に、僕の体を一歩近づけた。
    「全身に、くまなくあげるよ」
     満足そうに笑う悪魔に、僕のすべてを捧げよう。
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