採卵鳥「ずっとここには居られないよ、お前はいつかお嫁に行くんだ。もうすぐ相手が正式に決まる。それからお前が18になり成人を迎えたら、その相手の城で暮らすんだよ」
その言葉を兄から聞いた時、私は泣いて嫌がった。今までで一番嫌がって、城の財宝も一番壊した。私を押さえようとする兄の氷を砕いたのもその時が一番だった。いつも、そうすれば優しい兄は許してくれた。
「それがお前の運命だ、受け入れる他ない」
兄はただひとつ、それだけは決して許してくれなかった。
*
兄の胸に飾られたロゼットを見ていた。リボンで飾られた丸い部分には、アンドレアルフスのシジルが描かれている。名の通り薔薇のようなその飾りが、特別に思えて羨ましかった。
2014