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    メモ(32-A)
    2021年11月27日
    竜ベル恵すずワンドロ
    お題『メロンソーダ』

    #恵すず
    eizoTin

    クリームメロンソーダ 現実世界(リアル)で鈴さんに出会って間もない頃、二人で喫茶店に入った事がある。
    わざわざ僕のいる東京の地へ、彼女が再び夜行バスを使って、会いに来てくれた時だ。

    席に案内され、メニュー表に目を通す。そこには、メインの珈琲以外にも、好物の『クリームメロンソーダ』があった。

    目の前で、何を頼むか悩んでいる彼女との年齢差は、どうやっても縮まる事は無いから、メニュー表にあるソーダに惹かれつつも、無理に背伸びをして、苦味の良さがまだ解ってもいないブラックコーヒーを頼むことにした。

    「恵君、決まった?」
    「ブ……ブラックで」
    「えっ? 飲めるの?」
    「うん、大丈夫」
    「ふーん、……そっか……」

    鈴さんが店員に手を振り、オーダーを聞かれると、すかさず彼女は、
    「クリームメロンソーダを2つ」
    と、注文した。
    「えっ? 僕、コーヒーを!?」
    「…何となく…サイダーをね、飲みたい気分なの。付き合ってくれる?」
    「う、…うん……」

    運ばれてきたソーダの、口に広がる溶けかけたバニラアイスの甘味と、爽やかな炭酸が喉を通る度に、ホッとしている自分と、多分また彼女に本音を『見透かされてしまった』だろう事に、恥ずかしくなっている自分がいた。

    ……これから先も、何度も心の中を見透かされてしまうだろうから、もういっその事、彼女の前でくらいはどんな時も素直な自分でいてもいいのだろか?……。

    そんな事を考えながら、「恵君、美味しいね」と、同じクリームメロンソーダのグラスに手をかける、彼女の白い指先に見とれていた。
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