クリームメロンソーダ 現実世界(リアル)で鈴さんに出会って間もない頃、二人で喫茶店に入った事がある。
わざわざ僕のいる東京の地へ、彼女が再び夜行バスを使って、会いに来てくれた時だ。
席に案内され、メニュー表に目を通す。そこには、メインの珈琲以外にも、好物の『クリームメロンソーダ』があった。
目の前で、何を頼むか悩んでいる彼女との年齢差は、どうやっても縮まる事は無いから、メニュー表にあるソーダに惹かれつつも、無理に背伸びをして、苦味の良さがまだ解ってもいないブラックコーヒーを頼むことにした。
「恵君、決まった?」
「ブ……ブラックで」
「えっ? 飲めるの?」
「うん、大丈夫」
「ふーん、……そっか……」
鈴さんが店員に手を振り、オーダーを聞かれると、すかさず彼女は、
654