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    らんじゅ

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    らんじゅ

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    「お前が知りたいって言ったんだろ」
    「興味本位で聞いたらクソデカ激重感情で殴り飛ばされるとは思わないじゃあないですか」

    わたしの中の梅宮観の覚え書き
    柊登馬の日課について(捏造しかない)
    CPではない

     梅宮一は龍である。
    これは伝承だとか、人外だとか、そういうことではない。イメージの話だ。
     その話の前に少し俺の日課の話をしよう。俺は毎日、梅宮一の動作確認をする。朝一番に土いじりをしたがるアイツは、大抵いつも屋上に居る。そこには大抵杉下も居るので、俺は二人に挨拶をして、梅宮に「元気か」と聞く。ただの挨拶の+アルファのように思うことだろう。これが重要なのだ。
     まず梅宮一は、「元気じゃない」とは言わない。必ず無理をする。そしてそれを悟らせない。いつだってアイツは自分を後回しにする。これは英雄的自己犠牲などではない。自傷だ。そういう強迫観念と言い換えても良いだろう。そうなったキッカケなどは俺の知ったことではないが、出会う前のことであるのは確かだ。アイツは出会った頃からそうだった。手を傷だらけにして、己が理想を力技で成し遂げた。
     いつだったか、聞いたことがあった。みんなで飯が食いたいとか、みんなを安心させたいとか、うんざりするほど聞いた理想の奥にあったものは「お兄ちゃんだから」だった。なんとなく納得したのを覚えている。そう、梅宮一は“兄”という生き物なのだ。それも、強烈な。“弟妹”のためならなんだってする、修羅なのだ。突き詰めればアイツの理想は全てが家族の、弟妹のいるこの街に悪意を持ち込むものを許しはしないというエゴだった。動機はともかくとして、それがこの街を護る支柱であり、たったひとつの掟となったのだ。
     しかしそれに一番縛られているのは、実のところ本人であると俺は思う。“梅宮一”は眩すぎるのだ。あまりにも真っ直ぐで、あまりにも強烈な、“梅宮一”という都合の良い偶像が作られるのは火を見るより明らかだった。現に信仰者が既に居る。憧れは理解から最も遠いところにあるとどこかで読んだ気がする。
     確かにアイツの考えは正しいものだと思う。理不尽に傷付く誰かをなくすというのは誰もが願うことだろう。だがそれはたった一年二年で成し遂げるものではないのだ。人ひとりに耐えられるものではないからだ。だが梅宮一は修羅である。護るというエゴの塊である。それをやるのがアイツだ。俺たちが四天王だなんて呼ばれるのはアイツが危なっかしくてしょうがないから近くに居たらそうなっただけだ。要するに、究極の自己中なのだ、アイツは。
     アイツは優しくなんかない。穏やかなんかじゃない。吹き荒ぶ嵐だ。それをどうにかこうにか“梅宮一”の形にして取り繕っているだけだ。だいぶ逸れたな、ここで龍が出てくる。龍神信仰における龍というのは多くは河川のことだ。荒れ狂う川を龍に例えて、産土神として信仰する。時代が進むにつれて整備された川が“祀ったことで龍の怒りを鎮めた”とされた。少し違うかもしれんが大体こんなもんだ。良く似ていると思わないか。梅宮一と“梅宮一”。荒れ狂う修羅を“梅宮一”として祀りあげることで象徴とする俺たちに。アイツはさ、あまりにも都合の良い神なんだよな。それを良しとする俺たちも結局のところ共犯だ。水もアイツも俺たちにとっては最早インフラだ、今更変えられない。
     まぁ、担ぎ上げた俺たちにも責任というものがある。だからこそ俺はアイツの動作確認を欠かしたことはない。“必ず元気と言うのだったら確認の意味がない”そう思ったよな。ああ、そうだ。見分けるコツがある。質問を急に変えると、アイツはバグる。俺の「元気か」には慣れるんだろうな、他の奴らのにも。だから忘れた頃に「大丈夫か」に変える。目を合わせようとしないんだ。ほんの一瞬、それが“大丈夫じゃない”サイン。面接では担当面接官の目じゃなくてネクタイの結び目あたりを見ると変に緊張しなくていいって言うだろ。そのくらいの差だ。
     いくらアイツが狂ってるったってアイツはただの高校生だ。アイツの血も同じように赤い。いつか絶対にガタが来る。解き放たれた梅宮一がどうなるかなんて俺たちにはわからない。でもいつかアイツが荒御魂になったときは、俺が殴り殺してやらんといけない。他の誰でもない戦神の名を頂く俺にしかできない。だって俺は

    「アイツが嫌いだから」

     一気に話を終えた柊は握り締めた拳をふ、と開いた。薄く笑ってこちらを見やる彼を佐狐はなんとも言えない顔で見つめた。頭の中に浮かんだ言葉が言って良いものなのか、少し考えて、息を深く吸って、吐いて、意を決して言葉を紡ぐ。

    「重いです、柊さん」

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