悪夢ここの所、毎日のように夢を見る。
それはファンタジーのような現実離れしたものであったり、逆に目が覚めている時の旅の延長線のようなものであったり、毎回違っていた。
連日スタンド使いを警戒しているのもあり、気が昂って深く眠れていないのだろうか、とも思ったが、体調に影響がある訳でもないから気にとめないことにしていた。
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「ここは…また夢か。」
今回は寝ていることを最初から自覚している夢のようだ。
(動けない、な。)
ドロリ、とした黒い液体が絡みついてくる。動こうとすればするほど深く沈んでいくような感覚があり、とても気分が良いとはいえなかった。
それ以外は何も起こらないまま再び意識がもどる。
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不思議なことに、コールタールのような黒い液体に沈む夢を見てから続けて同じ夢を見るようになった。
ただただ不快で、意味も分からない。早く目が覚めないかと思うのは自然なことであった。
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何度繰り返したか忘れた頃、痺れが切れて全力でもがいてみた。すると最初とは違い、存外楽に前へと進めた。
(無意識のうちに動けないと決めつけていたのかもしれないな)
夢の中での時間感覚がどれ程正しいかは知ったことではないが、ざっと1時間程進んだ頃、液体の流れが変わった。どうやら水源にあたるものが近いらしい。
近いとわかると急に気になり始め、足を速める。
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ドロドロとした黒い液体の水源は……旅の仲間、だった。
花京院、アヴドゥル、イギー……?
皆、酷い怪我を負っており、そこから黒が流れ出ている。
なんだ、この趣味の悪い夢は。
覚めろ、覚めろ、さっさと覚めやがれ!!!
「なあ……承太郎?」
「気づいているのだろう、旅などもう終わっているのだと。」
「僕たちのこと、忘れちゃいました?」
「………」
ーーーー何を、言っているんだ。
意味が分からない。旅が終わっている、だと?そんなことはありえない、有り得るはずがない。
覚めろ、覚めろ!!!目が覚めたら、また旅の続きを………「そこまでだ承太郎」
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今日も俺は夢を見ている