オッドアイそれは俺と親父だけのものだった。
世界で何人いるか、少なくとも今まで同じ目を持ったものは血の繋がった者以外は見かけなかった。
俺と親父だけの特別な家族である証だった。
お袋にもない。俺と、僕とお父さんだけの特別なお揃い。少し色は違うけれど、2人だけのもの。そう幼い頃は思っていた。
だから実を言うと二郎が産まれた時がっかりしてしまった。2人だけの特別だったのに。もう2人だけのものでは無くなってしまった。
がっかりした俺とは逆にあまりにも親父が嬉しそうに笑うものだから俺は拗ねて暫く親父を避けた。2人だけの特別だと思ってたのは自分だけだったのだと知ってしまって悲しかった。
そんな俺を親父は困ったように笑いながら抱き上げた。
「一郎に避けられると父さん悲しいなぁ」
自分を抱きしめる腕が、話しかけてくる声がとても優しかったからその言葉が本心だと分かった。悲しいと思ってくれた事が嬉しくて思わず必死に抱きついた。そして「とうさんと僕だけのお揃いだったのに」と打ち明けると少し驚いた後、今度はさっきよりも強く抱きしめてくれた。その後何を言われたのかは忘れてしまったけれど、俺は親父の腕の中で大声を上げて泣いた事を覚えている。