未完「なぁ、お前満足してるか…?」
横で赤い顔で肩を上下させたキラウシにボソッと呟いた。
キラウシとの情事数回、年からか起立しにくくなった息子と遅漏の気が出てきた体に鞭打って頑張ったつもりではあるが、俺より10歳は若い男の性欲と釣り合いが取れないのは重ねてきた年齢でわかってはいた。
まさかのことを聞かれたのか目をまん丸に開いてこちらを見るキラウシに続けた
「いや〜お前さんの方が若いし、俺もうおっさんだからさ…一回しか出ないというか出来ないでしょ…だから、満足できてんのかなって思って…」
ボソボソと言ってみたがなかなか情けない。
「満足か…、体繋げて俺は満足してるぞ?」
気を遣ってくれているのか答えてくれる言葉は分かって居た模範解答だった。
「それなら良いんだけどよ、ごめんなこんなこと言って」
まあ、これ以上掘り下げることもないだろうと腰掛けて居たベッドに横たわる。
寝るか〜と電気を消そうとしたとき
「あっ!いいこと思いついたぞ、門倉俺に任せろ」
は?と顔を上げた
「次のセックスは1ヶ月後今日が20日だから来月の20日土曜。それまで自分でやるのも禁止だ、門倉はこれだけ守ってくれ。」
はぁ…と頭を掻きながら、別にもう若くないし朝立ちもオナニーもご無沙汰の自分にとっては簡単な話だが…
「わかったな?門倉!」
と釘を刺されハイハイと適当な返事をして眠りについた
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そんな話をしてから三日目の朝
カチャカチャと音のなるリビングへとモソモソと向かう
「おはよう」と声を掛けキラウシの作ってくれた朝食が置かれたテーブルへ目線をむける
ホットコーヒー、目玉焼き、焼き鮭、白ごはんに味噌汁。
いつも通りの食卓に見慣れないものが2粒
「これなに?サプリかなんか?俺用?」
思いついたことを全部聞くと
「あぁ、健康に良いらしくて…買ってみた。今日から用意しておくから飲んでくれ朝晩2錠ずつ。」
フーンと特に疑問も覚えず俺の健康気遣ってくれるなんて優しいなぁと思いながら食後に2錠水と共に流し込んだ。
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「最近、門倉部長お弁当ですね」
後輩が弁当を覗き込みながら話す
「卵焼きにブロッコリーと鯖の炒め物…?ですか彩りも良くてすごく美味しそう」
いいな〜羨ましい〜
と続ける部下にいいだろ〜と笑い話をしながら弁当を完食した。
ここ2週間ほどキラウシが作ってくれるご飯しか食べていない
このご時世で出掛けられないし、飲み会も無くなったからほぼ家での食事。
元々料理好きだと言っていたし、上手いから嬉しいが負担になってないだろうかと思いながら午後の仕事に戻った。
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門倉がキラウシと約束をして3週間程
まさかの事態に門倉は朝から驚いた。
俺の息子が少しとはいえ起きて主張をしているではないか!
「うわ〜久々にこんなんなったなぁ…」
さてさてどうやって息子をもてなしてやるかなと思案していると先に起きてたキラウシが朝ごはんができたと呼びにきた。
「門倉〜朝ごはんできたけど…って起きてたのか」
「おう、起きてたぞ!見てくれキラウシ〜俺の息子が!久々に起きてんだよ」
へへっと笑いながらキラウシに見せつけるように布団を剥ぐ
今日は休みだし…このまま一緒にキラウシと一緒にベッドで楽しむのもありだな…なんて考えていると
「ふーんよかったな、まあトイレ行くなり素数数えるなりして抜かずに落ち着かせてリビングに来い。」
「えぇ?な〜んで抜いちゃダメなの?そんな事言わずに一緒にベッド入ろうよキラウシくん」
「ダメだ、次は20日って決めただろ。ジジイもう忘れたのか?」
あ〜〜そんなこと言ってたなぁと頭を掻きながら思い出す
「あと数日だろ、お前が言いだしたんだし頑張って我慢しろ」
と笑いながら寝室を出ていくキラウシを見送って、余計なこと言ったなぁと思いながらこの会話に萎えつつある息子を見てからトイレへ向かった。
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今日は19日明日は約束をしていたセックスの日だ
1ヶ月、中年にとっての1ヶ月はすぐ終わった
体調はここ最近キラウシの用意してくれた3食バランスの取れた食事をとって、仕事も閑散期という事で長い残業もなくストレスもあまりなかったし、睡眠もよく取れた。
ここ数年で一番体調がいい。
性欲はというと何となくだが明日を楽しみにムラムラしてきている自分がいる。
こんな事は久々で笑いが出てきた
「よし、明日に備えて…と」
いくら健康的になったとはいえ楽しませるにはこういう物の力を借りることも有りだろうと珍しくコンビニで買った瓶をしまう。
そう言えばキラウシはここ1ヶ月どうしてたんだろうか
中年のカップルとはいえ2週間に1.2度くらいはそう言った行為をしていた ここまで長く体を重ねなかったのは自分が出張中くらいしか無かったはず。
まさか他の男と…?とも考えたがそんな事アイツは出来ないわなと思い直した。
というか一緒に住んでいる恋人に俺がなんと無しに行った一言でここまで相手にも我慢させてしまった事に申し訳ない気持ちが湧いてきた。
明日は頑張ろ、そしてめんどくさいこと聞いてごめんなって謝ろう。ついでにここ1ヶ月一人で慰めてたのか聞いちゃおっかな、なんてことを考えながら眠りについた。
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ズッ…ピチャッ…
なんの音かと閉じていた瞼を擦りながら開く。
なんだか股間が暖かい…?暖かい?!
ビックリしながら布団を覗き込むと俺の自身を咥えながら真っ赤な顔しながら上目遣いで見つめるキラウシが居た。
「へぇ…?なにやってんのキラウシくん」
起きてから遅れてやってくる下腹部への刺激に息を吐きながら聞いてみる
「もう…土曜だからっン…いいかなぁって…思ってッ…」
答えながら刺激をしてくる下の動きは止めない