恋も二度目なら「言いたいことあんなら言えよ」
研究所の廊下ですれ違い様、声を掛けられる。
発した本人は声を掛けるという響きとは全く無縁の剣呑な雰囲気で、喧嘩を売られる筋合いなどない隼人にとっては面倒でしかなく、スルーしたかった。
しかし、無視を決め込んだところで諦めるような相手ではない。問われたことには答えないと五月蠅いだろう。
「言いたいことだぁ?」
ねぇな、とひとこと言って視線を向けることなく立ち去ろうとすると、肩を掴んでこようとする気配がするので、すかさず避けた。
「なんなんだよ、てめぇ」
「あぁ?」
隼人に避けられた竜馬は、不満そうに口を尖らせているが、何だというのか。隼人自身には全く心当たりなどない。
勝手に因縁を付けられて正面から睨み上げられて、ひとり真剣な様子に笑ってしまいそうになる。
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