そんな"いつか"が来ませんように 仲間たちに囲まれ、盛大に祝われているボスキの姿を眺めながら、女はふと顔を曇らせた。
祝いの席にはふさわしくない表情であることも、気づいた執事たちが心配することもわかっている。けれどどうしても、わき上がる不安を心の中に留めておけなかった。
考えていたのは、今日の主役であるボスキのことだ。
パーティーが始まる前のこと。彼女はボスキと二人で話をする時間を得た。その場で用意していたプレゼントを渡し、話の流れで、彼の髪のセットを手伝うことになった。
ボスキの過去の話を聞くこともできて、とても有意義な時間だったのだが……ボスキという男の本質をまた一つ知った分、考えずにいられないことがあった。
ボスキ・アリーナスというひとは、それが自分に唯一できることで、かつ大切なひとのためになるとわかれば、相手を悲しませることになるとわかっていても、実行に移してしまう。そういう意志の強さがある。
2789