藍平藍平さんには「似合わない色の服を着てみた」で始まって、「大切なものをなくしました」で終わる物語を書いて欲しいです。青春っぽい話だと嬉しいです。
#書き出しと終わり
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大学生藍と社会人平
「……礼服、ですか」
おん。明日な、部下の結婚式出たらなあかんねん。去年の暮れに衝動買いした安物の姿見の前で、平子さんは下ろし立てのスーツを前身に当てがっていた。
土曜日の夜。私はA4用紙の束をホッチキスで留めるだけの内職に勤しんでいる。週明けのゼミで配布するための資料作成だった。金曜の昼間、メールでデータを一斉送信しておいたのだが、アナログ脳を捨てられない老教授が「人数分の資料を用意せよ」と再び一斉送信で私宛の指令を寄越したのが悪夢の始まりだ。TOとCCの違いすらわからないような――メールすらまともに返信出来ない人間に言われてしまっては、無下に断ることも出来ない。ここで頭の古い人間相手に「データを見ろ」と一蹴することは、物言わぬ赤子を橋の下に棄てることと同義だと思ったからだ。
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