ドライブデート後のまもいぶアイツとデートした。車を走らせてビーチで遊んで、そのまま帰るのが惜しくてホテルに泊まった。互いに抑えきれない熱をぶつけ合って溶け合って。少しの時間も離れがたくて後処理も最低限に抱きしめあって眠りに落ちて。
横で誰かが動く気配を感じて目が覚める。目を開けるとアイツがすぐ隣にいる。眠っているせいかいつもより少しだけ幼さを感じる気がして、ついまじまじと見てしまう。相変わらずキレーな顔だこと。早くその瞳に自分を移して欲しい気持ちと無理させた分ゆっくり寝かせてやりたい気持ちがせめぎあう。
実際にとった行動は理性と欲の折衷案。彼女の頬を指の腹で触る。伊吹が起きる様子がないのでそっと親指から順に頬に添えていく。そのまま頬を撫でて、我慢できなくなって彼女の唇に自分のそれを重ねた。「んんっ」と悩ましげな声がしたのでそっと離すと目が開く。ぱちぱちと数度瞬きしてまだ眠そうだ。それが可愛くて愛おしくて、「はよ」と挨拶をすると「おはよう」と返ってくる。その事実が嬉しくて、幸せで。そのまま抱きしめてキスをしたらもう止まらない。
愛おしい時間は別れが寂しくなる、と言っても世のカップルとは違い帰る場所は同じだ。でも二人きりではないし、部屋も違う。その事実が無性に寂しいが、さすがに2泊するわけにもいかないので大人しく車を走らせる。
部屋まで送り届けてもやっぱり離れがたくて。それでも昨日今日と既にだいぶ負担をかけている自覚はあるので「ゆっくり休めよ」なんて声をかけて大人しく自室に帰る。何をしたって思い浮かぶのはアイツの顔。先程別れたばかりなのにもう会いたい。声が聞きたくてD.D.Dに手を伸ばしては戻して、の繰り返し。そのうちに、思っていたよりも疲れが溜まっていたらしい、夢の世界に誘われていく。
目が覚める。隣にアイツがいない。一人で寝たから当たり前ではあるのだが、無性に寂しい。この寂しさはきっと、愛おしい存在と共に寝る幸福を知ってしまったからこそだろう。
「早く会いてぇな」
思わず口からこぼれてしまった言葉に自分でも苦笑する。俺、どんだけアイツのこと好きなんだっつーの。
それでもやっぱり早く会いたくて、いつもより少し早めに用意をしてホールに向かった。