この想い 伝えるべきか?マレウス・ドラコニア。いずれは夜を統べる王となることが約束されているが、今はまだ一学生。悩みといえば、誰からもパーティに招待されないことぐらいだったのだが。
どうやら恋をしたらしい。
相手はおんぼろ寮に住む“監督生”。面白い存在、ぐらいの感情だったはずだ。しかし夜の散歩でたわいもない会話をする度、その感情は「お気に入り」と名前を変え、ついには恋慕にまで発展してしまったらしい。
しかし彼女は人間である。種族が違うもの同士、ましてや妖精と人間などまず結ばれることは無い。はずなのだが、1度自覚した思いというものはそう簡単に消せるものでは無かった。
この感情を伝えてみたい。自分の感情をありのまま伝えれば、きっと受け入れてくれるだろう。だが、もし振られるようなことがあればどうだろう。きっと今のようにはいられない。「ツノ太郎」と呼ばれることもなくなり、友達ですらいられないかもしれない。
それは、何としてでも避けたかった。
そんな折、廊下で監督生がキングスカラーと楽しげに談笑しているところを見た。こちらの目線に気づいたのか、キングスカラーはこちらを挑発するように監督生と距離を詰める。
彼がもし、監督生に好意を寄せていたとしたら。自分のものではなくなるのも時間の問題かもしれない。それならばいっそ
「この想い、伝えるべきか」