お誕生日おめでとう!!! ルシファーの部屋で彼の仕事の手伝いをしていると、声をかけられる。
「もうすぐ君の誕生日だが何か欲しいものはあるか?」
作業の手が止まる。そして声の主の方へ目線を向ける。
「嬉しい、覚えてくれてたんだね。」
「当たり前だ。 それとも君は、俺が愛しい恋人の誕生日を忘れるほど薄情な悪魔だとそう言いたいのか?」
「そういうわけじゃないけど、」
「知っている。少し休憩にしよう、こっちにおいで。」
誘われるままに彼のもとへ向かうと、彼が座っているその上へと迎えられる。
「それで、何か思い浮かぶものは?」
考える。靴は…最近お気に入りのものを買ったばかりだし、他にもほしいものはたくさんあるけれどルシファーにもらうものは特別がいい。
「うーん…それが思いうかばないんだよね。」
「そうか。」
そうしてルシファーは少し考えた後、「それなら」とある提案をした。
「俺の時間を一日お前にやるのはどうだ」
「え、いいの?」
思わず聞いてしまう。なんせ彼はいくつも仕事を抱えていて、いつも忙しそうにしているのだから。正直この申し出はとても嬉しい。嬉しいけれど難しいのでは、とどうしても考えてしまう。しかし、
「大丈夫だ。俺の不在はあの弟どもに任せておけば問題ない。それに、君の誕生日だ。君が望んだことならあいつらも文句は言えないだろう。」
その後、ルシファーの不在に関しての「お願い」をルシファーと一緒に兄弟たちにしにいくと、彼らは頼られたことに嬉しそうな顔をしたり、ちょっと不服そうだったりそれぞれだった。しかし、どこかで理解してくれているのだろう、最後には「楽しんで来いよ」と送り出してくれた。
誕生日当日。ルシファーの時間をもらっている、という名目なので、今日のデートは私の行きたいところに同行してくれるらしい。買い物に行った。服を選んでもらったり、逆にルシファーに服を選んだり。彼の選んでくれたものは上品でかわいくて、ルシファーはどんな服を着てもかっこよくなってしまう。これ、というものをひとつずつ送りあった。買い物を終えてカフェに入る。ゆったりとしたティータイムを過ごす。その後、のんびりと街を散策して、館へと戻った。
夕食後、部屋に戻ってくつろいでいると、ルシファーから電話が。ルシファーの素直な気持ちが電話越しに伝わって、さっきまで会っていたのに無性に会いたくなる。
「逃げるなよ」
電話が切れる。心臓がバクバクしている。ぴろん、と通知が。急いでD.D.Dを開くとルシファーから通知が。
「君の声を聴いたら会いたくなってしまった」
「さっきまで独り占めしていたというのにな」
「今から俺の部屋に来れるか?」
「君の特別な日の最後の瞬間まで俺でいっぱいにしたいんだ。いいだろう?」