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    hananyan

    @hananyan49

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    ハロウィンのレヴィ伊(大遅刻祭)

    トリックオアトリート 見知ったドアの前に立つ。浮ついた気持ちのままコンコンと二回叩く。「何?」と返事が聞こえたところで「レヴィいるー?」と声をかけると、突然の訪問だったからだろう、「えっ、まって、!?」という声とドタバタという音。そうしてすぐにドアが開いて青色の髪がのぞいたところで用意していた言葉を届ける。もちろん、満面の笑みを忘れずに。
    「トリックオアトリート!」
    あれ、リアクションがないぞ?と相手の様子を窺えば、本人はドアからひょっこりと顔をのぞかせたままフリーズしている。
    「へ? なに?ぼく夢でも見てる? 部屋のドア開けたら彼女に笑顔で『トリックオアトリート』なんていわれてこれはいたずら一択っしょってなってあーんなことやこーんなことが出来ちゃうってなにそれそんなリア充みたいな同人誌みたいな展開ぼくに起こるわk」
    「とりあえずいったん部屋あがっていい?」
    「ハイ」
    そういうことになった。
     
     
    大きなテレビの前に座る。レヴィとこの部屋でゲームする時はたいていここに座る。いつも通りの雰囲気になって少し落ち着いたのか、レヴィが口を開く。
    「ってかなんで今日? 人間界でもハロウィンってたしか昨日だったよな?」
    「そうだけど、昨日は殿下の誕生日だったから余計なこと考えずにお祝いしたかったの。レヴィだって殿下への誕プレ制作で忙しそうだったし。」
    「確かに。」
    そう、魔界ではハロウィンは愛すべき殿下の誕生日。彼もこう見えて執行部だし、留学生である私もいつもより忙しくなるのは目に見えていた。加えて、やはり誕生日はその人にとっては特別な日だし、誕生日を優先したい。それに
    「それに、ハロウィンするなら恋人とゆっくり楽しみたかったし。」
    「え、それってどういう」
    「まぁまぁ。そんなわけで、トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ?」
    恥ずかしさをこらえつつ全力の可愛いポーズを取れば、どうやら効果はばつぐんだったようだ。
    「ゔっ…それずるいよ…こうなったら、ぼ、ぼくだってやってやるんだからな。」
    レヴィの顔が真っ赤に染まる。
    「い、イタズラだ!お、おまえがイタズラしちゃうぞって言ったんだからな。やれるもんならやってもらおうではないか!」
    「ふふ、緊張しすぎ。いいよ、じゃあイタズラするから目を閉じて…」
    そう、ハロウィンネタを持ち出せばこうなることは簡単に予想することができた。レヴィはきっと恥ずかしがりながらもイタズラを要求し、私がえっちなことをしかけてくるのを期待するのだろうと。果たしてそうなったわけだが。でも、思うところもあるわけで。
     
    だから私は、目を閉じたレヴィにゆっくりと顔を近づけて鼻先が触れそうなぎりぎりのラインでゆっくりと離れ、そのままパシャリ、とD.D.Dで彼を撮った。
    いつまでも来ない感触にどぎまぎしながらぎゅっと固く閉じられていた瞼が驚きで開かれた。状況を読み込めていないのだろう、瞬きをくり返している。
    「えへへ、レヴィならきっと『イタズラ』を期待するかなーって思ったから『イタズラ』してみました。キス待ちのレヴィかわいかったよ。」
    「おまえ…!」
    「でも、イタズラを望んだのはレヴィだもんね?」
    そういうと、明らかに彼のテンションがシュンと下がったのがわかった。明らかにしょんぼりしている。
    「ごめん、そんなに落ち込むなんて思わなくて。」
    「期待したぼくがバカみたいじゃないか。」
    「そんなことないよ」
    彼のじっとりとした視線が私を射抜く。やばい、相当怒らせてしまったらしい。ちょっとまえまではあんなに浮かれていた心も彼につられてしぼんできてしまった。じわり、と視界ににじむ水分をこらえていたら、我慢するつもりだった言葉がこぼれる。
    「だって、いっつも私からしてばっかなんだもん。」
    こらえていた涙もぽとり、と下に落ちた。これじゃあ泣き落としだな、なんて頭のすみに冷静な自分がいるけれど、一度溢れたら止まらない。
    「こういうシチュエーションが好きなんだろうな、ってこともわかってた。でも、こういう特別な時ぐらい」
    言い終わる前にぎゅうと抱きしめられる。「ごめん」という声が聞こえてさらにきつく抱き込まれて安心感からそのまま声をあげて泣いた。
     
    しばらくたって少し落ち着いたので、レヴィに包まれる形で話の続きとなった。
    なったのだが。
    「レヴィとそういう、いちゃいちゃするのは、私的にはトリートだから。」
    安心したためかつい本当に言うはずの無い言葉を放ってしまったのに気づいたのはレヴィの目が大きく見開かれたからだ。
    「ほら、イチャイチャするのって甘い時間っていうし、そもそもトリートっておもてなしって意味もあるし、」
    弁解を述べても墓穴を掘っている気しかしない。それならばいっそ。
    「……キスしてくれなきゃいたずらしちゃうぞ?」
    「わかった。」
    レヴィの綺麗なオレンジの瞳がはちみつのようにどろりとしたのを感じる。
    「すっごく甘い、甘すぎるくらいの時間をおまえにあげる。だから、お前もぼくにその甘い声いっぱい聞かせてくれるよね?」
     
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