早く寝ろよな! 「おい、何時まで起きてんだよ」
突然の声に驚いて辺りを見回すとドアを背にしてマモンが立っていた。
「マモン? 入るならノックくらいー」
「ノックはちゃんとしたっつーの。それよりなァ、何時まで起きてるつもりだよ。」
そしてつかつかと私が作業している机の横までやってきて覗き込む。
「はァ? 課題? こんなおそくまでかよ。」
「あ、ううんこれはちょっと違くて…」
と、授業で習ったことではあるが、そこから更に詳しいことが知りたくなって自主課題としてやっているのだと説明する。
マモンの顔は怒っている顔から呆れている顔へと変化していった。そして大きくため息をひとつ。
「お前が勉強熱心なのはわかった。でもな、あんまり無理してっと体にも良くねぇぞ? 特にニンゲンなんて俺らに比べてすげー脆くてすーぐ死んじまうんだからな。」
そう言って少し真面目な顔をして考え込む。あーでもないこーでもないと呟いた末、「おし、決めた。」と一言。そして
「お前の気が済むまで横で見ててやんよ。」
といい笑顔をこちらへ向けた。
「え? 別にマモンまで起きてる必要は…」
「あのなぁ、ここで俺が『はいそうですか』ってお前を1人にして、挙句お前が無理して倒れたりしたら、ルシファーに怒られンのは誰だと思ってんだこんにゃろう。俺がいれば、俺に気ぃ使ってちょっとは早く切り上げるだろ?」
そしてちょっと恥ずかしそうに「それに」と続けて、
「それにお前と2人っきりの時間ってのも悪くねーなって思ってんだからちょっとは堪能させろばーか。」