第一章 第六話「継続」ロボロさんと出会った二日間はとても有意義だった。外にはここの本では分からないような道具や建物があるらしい。ロボロさんの話全てに色がついたみたい。とても楽しい。でもそんな時間も終わりが近づいてきた。少しずつ、けれど確実に体が上手く動かせなくなってきた。それが意味する事は。今日が、消滅する日。
今日もいつも通り外について教えてもらう。ずっとずっと話していたい。でもそれももう終わり。あぁ。綺麗な夕焼けだな。この時間帯を確か黄昏だっけ?逢魔が時とも言うか。この景色を見るのが最後なんて実感湧かないな。
ロボロside
ふと窓から夕焼けを眺めているあいつは清々しそうだった。でも消滅はさせへん。俺の自己満足やけどな。助けるって、救うって決めたんや。だから付き合ってもらうで。
「おーい。なに黄昏てるんや。」
「ん?これが最後なんて実感湧かないなって。あ、そうそう。僕が消滅した後、この館はロボロさんに所有権が移るから好きに使ってね。地下になら宝石とかお金になるものもあるよ。でも流石に肉とか人骨は要らないだろうから処分しておいたよ。後は、」
「なぁ。」
「うん?」
「、、、鬼に関する本を見たんやけどな。どーも消滅を回避する方法があるらしいやん。」
「っ!?確かにある、けど。」
「やらんか?それ。」
「駄目だよ。」
「何でや?」
「それは、その。」
「、、、はぁ。別に俺はお前にいじわるで言ってるんちゃう。お前が何百万人の人間を殺した化け物だとしても救われるチャンスはある。今みたいにな。」
「でも。」
「なんでそんな断るん?元々足が不自由で外に出てみたかったんやろ?」
「だって!だって、僕がここから出る為には、、ロボロさんに迷惑かかる。」
「誰がいつ迷惑って言った?」
「でも、でも、、僕はロボロさんやロボロさんの仲間を遊びで殺そうとしたんだよ!そんなの、許される訳がない!」
「、、、ええか。これはお前を助けたいっていう良心ちゃう。ただの俺の自己満足や。俺は昔、地獄から救われた。だからそいつと同じように救える奴を救いたい。それだけや。」
「本当に、良いの?」
「あぁ。」
「後悔しない?」
「当たり前やろ。」
「本当に、良いんだね?」
「あぁ。」
「、、、分かった。」
そこからはとんとん拍子に事が進んだ。何かあいつがここから出るには俺の眷属にならんとあかんらしい。その為に魔術陣を書いたり、俺のセリフを覚えたりしてた。そんでそん時にあいつの新しい名前を言うらしいんやけど。名前何にしよう?ネーミングセンス皆無なんだが?うーん?確かあいつの種族は鬼で、正確には呪鬼だったか。そっから俺の名前も混ぜて、、、『ロイ』なんてどうや?覚えやすいからこれでええか。
夜の初め頃
「それじゃ、やるで。」
「うん。」
緻密に書かれた魔術陣の中に入る。あいつから教えてもらった呪文を唱える。でも結構厨二病患ってるんだよな。唱え始めると魔術陣の中が光り始めた。
我が名はロボロ
新たなる契約を結びし者
汝の名を告げる者
汝の名はロイ
我と契約しその身が滅ぶまで我の眷属となるがよい
唱えるとロイが俺の前で跪いた。いやほんとにファンタジー系の漫画で魔王とかがやりそうな雰囲気やな。この雰囲気は俺じゃなくてグルッペンが一番適してるやろ。
承知しました我が主
我が名はロイ
名をくれた貴方様にこの身が滅ぶまでお仕えいたします
ロイがそういうと光が収まった。そして右手首に違和感を覚えた。見ると小さいが紅いタトゥーが描かれてれていた。え、大丈夫か?隠せる?
「何やこれ?」
「それは契約の証。服で隠さなくても任意で消せるよ。」
「ほーん。まぁ上手くいってよかったわ。」
「名前、ありがとね。」
良かったんかあれで。単純すぎやろ。我ながら酷いネーミングセンスやと思ったぞ?
「安直すぎたと思ってたけど、気に入ってくれたんならええわ。」
「まぁ何だって良かったけどね。自分の本名だって覚えてないし。」
今さらっと大問題言わんかったか?いや、気のせいか。これからは『ロイ』として生きるわけやし。
「これからどないする?」
「うーん。とりあえず主の国に戻る?」
いやこそばゆ。主なんて言われる柄ちゃうし。主とかやっぱりグルッペンとかが似合うやろ。
「どうかした?」
「主って言われんの、何かこそばゆいなって。」
「それは慣れて。契約の決まりなんだから。」
決まり作った奴出てこい。BOKO⭐︎BOKOにしたるからな。
「そう言われてもな。」
「もう。で、どうするの?」
「まぁ、ロイの言う通りまずは戻るか。」
「ここからどのくらいの距離なの?」
「隣国やし、交通機関使えば三日ぐらいやな。」
「へぇ、意外と近いんだね。」
「そりゃ連続失踪事件なんでグルッペン好きそうやったもん。」
「えっと、確か総統さんだっけ?」
「せや。一番偉いのによく脱走する甘党で戦争大好きな総統や。」
「仲良くできるかな?」
「やってみるしかないやろ。」
「、、、主。」
「うん?」
「これからよろしくね。」
「、、、おう。」