白い鳥 真夜中のそこはとてもとても静かな場所だ。
その部屋は少しだけ深く奥まった所にあり、太陽の出ている日中でも仄暗い。
大きな宝石の付いた王冠や指輪やネックレス、珍しい香辛料や造りの良い武器などが至る所に散乱している小さな部屋。部屋というより倉庫と言った方が正しいだろう。片付けても片付けても誰かがこうして散らかしてしまうので、最近はもう片付ける事を誰もが諦めてしまった部屋。
そんな場所にミツヤは居た。
周りのみんなが深く寝入って、波も穏やかな静かな真夜中。小さな丸い天窓から時たま入る微かな月明かりが、四方八方に乱雑に置かれた戦利品達と、重なる2人の人間の姿をわずかに浮かび上がらせる。
古びた大きめの木の衣装箱に上半身を突っ伏し、剥き出しの下半身を後ろから小刻みに揺さぶられながら、ミツヤは閉じていた目をそっと開けた。その目に最初に映ったのは数日前に手に入れた美しい絹のドレスだ。
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