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    ヒロス

    いかがわしいものとか色々置き場

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    ヒロス

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    🐉🍯。ドラみつ。
    チョロい🍯のちくびの話。

    バイク屋×デザイナー軸

    【それ、その男限定です】なんでこんな事になってんだ?

     龍宮寺は目の前の三ツ谷を見つめたまま、そんな事をぼんやりと思った。
     真っ赤に染まった頬。熱い息。気の強そうな垂れ目は涙が張っている。
     そんな顔でTシャツを首まで捲り上げた三ツ谷が、今、龍宮寺の目の前に桃色の控えめな突起をふたつ曝け出している。
    「なぁ、ドラケン。触って?」
     龍宮寺はググッと息を飲み込んだ。


     本当、なんでこんな事になったんだろうか。
     
     紆余曲折を乗り越えて付き合い始めて約半年。一緒に住み始めて約二ヶ月。本当なら今が1番盛り上がってるはずの二人は、三ツ谷の独立デザイナーとしての初めての大口案件と、龍宮寺のツーリングシーズン直前の繁忙期に直撃され、ここ1ヵ月まともに顔を合わせる事すら出来ない日々を過ごした。

     それも今日で終わり。
     明日は二人揃っての一日オフ。
     久々に二人で酒でも飲もうと、龍宮寺が日本酒を買って家に帰れば、三ツ谷はお得意様から貰ったというそれはそれはいいワインを片手に、何種類かの料理を作っている最中だった。
     リーズナブルな量販店で二人で選んだシンプルなローテーブルにいい匂いのするそれらを並べ、お互いを労いながら乾杯したのが今から約二時間前。お互いの仕事の話や、旧知の仲間達の笑い声話や、最近めっきり大人びてしまったという三ツ谷の妹達の話なんかをしながら二人でアルコールを流し込んだ。
     お高いワインをガッツリ飲んで、それから日本酒を空け、それが無くなると今度は買い置きの缶チューハイに手を出した。
     
     ここ1ヵ月近くずっとご無沙汰だった愛の営みってやつもしたくはあったし、いつもなら三ツ谷の深酒はそれなりのところで止めに入るが、酒好きな三ツ谷が酒も飲まずに根を詰めて大きな布を切ったり縫ったりしていたのは知っているし、独立して初めての大口案件が成功した今日くらいは羽を伸ばして好きなだけ飲ませてやろうと龍宮寺は思っていた。

     そして、今に至る。

     部屋着のTシャツをめくりあげ、二つの乳首を龍宮寺の目の前に晒し、触って。と囁く三ツ谷。
     龍宮寺は眉間に皺を寄せ、もう一度ググッと息を飲み込んだ。

     セックスの最中、三ツ谷は乳首を触られる事をとても嫌がる。
     嫌がってるわけでは無いのかもしれないが、
     「男の胸触っても面白くねーだろ。」
     とか、
     「こんなのただの飾りだろ。」
     とか、
     「くすぐってーんだよ!」
     とか言いながら、龍宮寺の手を払い除けるのだ。
     乳首が擽ったいのは感じる才能がある証拠らしいぞ。と、いつだったか軽い猥談の最中にイヌピーから信憑性のない情報提供はあったが、結局なかなか触らせてもらえずもう五ヶ月が経つ。
     三ツ谷はどちらかと言うと、前戯があまり好きでは無いらしい。キスは多分好きだ。触れるだけのキスから始めて舌を絡ませ合って吸い付いて口の中でこっちの舌を暴れさせてやればすぐに顔をトロンとさせるし、のぼせたように肌を真っ赤にさせるし、目の奥に興奮を孕ます。
     けれど前戯はすぐにやめろと言う。
     乳首に舌や歯を当てたり、捏ねたり捻ったりすると「いいから早くぶち込めよ。」と、切羽詰まった声で煽ってくる。
     スローよりハードな流れを好む節があるし、三ツ谷は愛の確認というより性処理に近い営みが好きなんだろうと龍宮寺は思っていた。

    けど、その、三ツ谷が!!
    今、こうして胸を反らせて、熱い息を吐きながら、「触ってくれよ」とささやいている。


     あーくそっ!この酔っ払いが!!
    龍宮寺は頭の中で悪態をつきながら、大きなため息を吐き出した。

     「お前…いっつも嫌がんだろ。」
    眉間の皺もそのままにそう言ってやれば、三ツ谷は「いいからいいから」と龍宮寺の手を自分の胸へと引き寄せる。

     なんでこんな事になってるんだろうか。
     まぁ、ハッキリ言ってしまえば、この状況はかなり煽られるし、嬉しいし、自分の色んな所がたぎっているのは確かだ。
     けれど、なんていうか、これは素面でお目にかかりたかった。
     三ツ谷の酒癖が悪いのは今に始まった事では無いが今日の酔い方はいつもとは少し方向性がズレている。酒の席で泥酔して他の奴らにもこんな事をしてるんじゃないかと龍宮寺は少々不安にもなる。
     ただ、こうなった三ツ谷に何を言った所で無駄な事は長い付き合いでわかっているし、明日の朝には覚えていないだろうから、その件に関する説教は明日に持ち越す事にした。

     龍宮寺はもう一度大きなため息を吐き出しながら、三ツ谷に掴まれ引き寄せられた方の手の平で三ツ谷の胸を軽く押した。

     「違う!もっと!指で押すの。なぁドラケン…もっと。」
     胸をぐいっと前に出して、熱い息を吐きながらそう舌足らずな呂律で迫ってくる三ツ谷。
     ここまでの酔っ払いに手を出したくは無いが、もっともっとと強請る三ツ谷はそれなりに貴重で、龍宮寺はグッと奥歯を噛み締める。
     それからもう一度大きなため息を吐くと、眉の間に皺を作ったまま、もうどうにでもなれというように人差し指で力強く三ツ谷の右の乳首を押し込んでやった。

    その瞬間。

     「ピーンポーン」

     乳首を押し込んだその瞬間。グフっとした笑い声と共に三ツ谷はそう大きな声を出した。
     
     はっ?
     龍宮寺があっけに取られた顔をしてると、
     「はーい。開いてますよー。どうぞー。」
     と言いながら、三ツ谷はゲラゲラと大声で笑い出す。

     はっ?おかしいだろ?何で乳首押してピンポン鳴ってんだよ。
     「…何がしてーんだオマエは。」
    ケラケラと笑い転げる酔っ払いを横目に、龍宮寺は今日一番のため息を吐き、自分のこめかみに手を当てた。
      
     「ドラケンのスイッチも押してやるよ!」
     そう言いながら手を伸ばしてくる三ツ谷を龍宮寺は左手一本で抑え込む。アルコールのせいでふにゃふにゃしている三ツ谷を抑え込むのは簡単だった。三ツ谷は抑え込まれた事も楽しいようで、相変わらずケタケタと笑い声をあげながら、乳首を丸出しのまま龍宮寺の左手に纏わりついている。
     
     龍宮寺はこめかみを抑えたままで考える。
     まずスイッチってなんだ?お前の乳首はスイッチなのか?てか何の?ピンポンってなるのはインターホンじゃねぇのか?開いてますってなんだよ!どうぞってなんだ?入っていいのか?
    あー!てか誰でも入れてんじゃねーだろうな?ふざけんな!あー、無理。抱き潰してぇ。くそっ本当なんなんだこの酔っ払い!!誰だこいつにこんなに飲ませやがったの!!あー俺だな!
    いつもの三ツ谷はどこ行った!!まぁ、こんな三ツ谷も嫌いじゃねぇ…いや!むしろ好きだけども!!!
     言いたい事は山ほどあるが、とりあえずこの手に負えなくなった酔っ払いを寝かせるのが先だろう。

     「ほら三ツ谷。ベッド行くぞ。」
     「えー?ベッド?ドラケンはエッチだな。」
     「うるせー。酔っ払い。」
     「んふふー。なぁドラケン。もっかい俺のスイッチ押す?いいよ?ドラケンは特別だからな。」
     相も変わらずふにゃふにゃした音色で、細めた垂れ目で、特別なんて事を口にする三ツ谷に対し龍宮寺の頭の何処かで何かがプツリと切れる音がした。
     
     
     「ピンポンピンポンピンポンタカシ君いますかー?」
     左手で三ツ谷を床に転がし、空いている右手の人差し指で出したまんまの三ツ谷の乳首を連打してやる。
     「あはははは!痛ぇ痛ぇ!!ドラケンヤベェ!はーい!いまーす!うははははは!」
     「うるせーっつってんだろ。」
     連打する龍宮寺に、三ツ谷はゲラゲラと笑いながら身体を捩る。こんなに爆笑するくらいだから、乳首が擽ったいと言うのは本当らしい。
     なんだか龍宮寺もつられて楽しくなってきてしまい、二人で馬鹿みたいに笑い合う。
     男に乳首を連打されながら爆笑する男と、男の乳首を連打しながら爆笑する男。側から見たら地獄のような風景だろう。

     これ、俺も結構酔ってるな。

     ひとしきり笑い合って、それが少し治った頃。寝転んだままでずっと出しっぱなしにされている三ツ谷の乳首を龍宮寺がシャツの中になおしてやろうとしたその時、龍宮寺の指先が三ツ谷の乳首の先端をサラッと掠めた。

     「んぁっ…」
     三ツ谷の口から漏れ出したのは艶っぽく濡れた短い声だった。
     思いもよらない三ツ谷の声にビックリして、龍宮寺は瞬間的に己の手を引っ込めた。その声を出した張本人も少し驚いたらしく、えっ?と小さく声に出し、自分の乳首を見つめている。    
     龍宮寺が膝立ちでそんな三ツ谷を見下ろしていると、三ツ谷は自分の乳首を見つめたまま、恐る恐るといった動作で自分の乳首の先端をサラッと撫でる。
    「…んはっ」
     吐息のような声が聞こえ、三ツ谷の肩がピクッと揺れるのが見えた。



     「んあぁっ!…はっ…」
     三ツ谷の指先が三ツ谷自身の乳首をサラリと掠める度に、ビクンビクンと三ツ谷の肩や胸や腰に無駄な力が入り小さく跳ねる。龍宮寺は三ツ谷のその姿を黙って見下ろす。
     
     なんでこんな事になってんだ…?
     お互い忙しいのが終わって、酒を飲んで、訳の分からない事でお互い大笑いして、まぁここまではいつもの二人と言えばそうなのだが、今、自分の膝の間に寝転んでいるのは、見た事も無い淫らな姿のかわいい恋人。

     「んんっ…これ、先っぽきもちぃ…腹ん中ずくずくする…んぁっ…止まんねぇの…」
     一心不乱に両手で両方の乳首の先端をさわさわと撫でながら、左右の太腿を擦り寄せ足首をもじもじと動かして、時折足の指を内側にキュっと曲げる。
      
     瞬きも忘れて恋人のその艶かしい姿を見つめていた龍宮寺と、ハァハァと小刻みに息を吐く三ツ谷の目線がかち合った。
     
     「あはっ。ドラケン顔やば。てか恥ずかしいねこれ。」
     三ツ谷はアルコールのせいで元々赤い顔をさらに赤く上気させ、恥ずかしそうに小さく笑った後で眉間に皺を作って下唇をキュッと噛んだ。

     龍宮寺は爆発しそうな頭と下半身をなんとか抑えつけながら、三ツ谷の身体をヒョイっと引っ張り起こすと、後ろから抱き込むようにその場に座り込んだ。そして三ツ谷が今そうしていたように、左右の人差し指の指先で両方の乳首の先端を掠める程度に緩急を付けて擦ってやる。

    「んあぁぁ…やだ…これ恥ずかしいだろ…んんっ…やだっ…」
     三ツ谷は龍宮寺の手に自分の手を掛け、腰をくねらせながら少し前屈みになる。
     「ドラッケンッ…はっ…ふぁっ…なんかこれおかし…い…んぁっ…」
     「三ツ谷。気持ちいい?」
     耳元で低音でそう聞いてやれば、三ツ谷わかりやすく肩を震わせコクコクと何度も頷き、ハァハァと息を詰めながら背中を強張らせて軽く果てた。

     そのまますぐ、クタっと力の抜けた三ツ谷を抱え込みベッドへと連行したが、軽くイッて満足したのか、ここ最近の寝不足のせいかアルコールのせいか、三ツ谷はベットへ降ろされた瞬間、すぐにクゥクゥと寝息を立て始めた。
     
     あーもう。お約束の展開じゃねーか。ふざけんなよ。人をここまで興奮させといて。
     けれど満足気な表情で気持ちよさそうに眠る三ツ谷を無理矢理起こす気にもなれず、龍宮寺は一人シャワーへと向かう。
     脳と下半身の冷めやらぬ興奮を、少しでも冷ましたい。
     茹るような熱めのお湯を浴びれば頭も体も少しはスッキリするだろう。

     スエットを適当に脱ぎ捨てて、熱いシャワーを全身に浴びる。何故か頭がボーッとする。興奮を冷ますはずだったのに、脳内に浮かぶのはさっきの三ツ谷の淫らな姿ばかりだ。
     「さきっぽきもちぃね…」
     酒に浮かされた舌足らずな少し上擦った三ツ谷の声が頭の中でリフレインしている。

     先っぽか…。なるほどな。乳首の先っぽが性感帯だったか…。そりゃ最初からギュッと摘んだり捏ねくり回してもダメだったよな…。そうか先っぽか…。先っぽな。先っぽ。
     
     恥ずかしい恥ずかしいでも気持ちいいと顔を真っ赤にして身体を捩る三ツ谷を思い出し、結局熱を冷ますどころでは無く、龍宮寺はその場で一発抜いた。
     数ヶ月前に風呂場で事に及んだ時、風呂場での射精は排水溝で精液が固まるからダメだと三ツ谷に言われたが、今は脳が沸騰していてそんな事を気にしている暇は無かった。

     
     龍宮寺はスエットの下だけ履いてベッドへと戻り、相変わらず酔ったヘラヘラ顔で眠る三ツ谷の隣へと潜り込んだ。
     


     



    なんでこんな事になっちまったんだろう。

     「あぁ…ヤバ。頭イテ…」
     三ツ谷はムクリと起き上がり、ゆるりと頭を横に振る。
     あれ?昨日どうやってベッド来たんだっけ?
     枕元に置かれた小さなデジタル時計を見れば、時計は朝の六時を示している。

     「確かクライアントに貰っためっちゃ高いワイン飲んで、そんでドラケンが買ってきた日本酒飲んで…」
     そこまで思い出した瞬間、三ツ谷の脳裏に昨夜の自分の痴態が全て蘇ってきた。
     
     うわぁぁぁ!マジか俺!!

     隣で眠るそれはそれはカッコいい恋人に乳首を押させて、ピンポーンと叫んだ事。今まで飾りくらいにしか思ってなかった乳首の先っぽをサラサラ擦るとやたら気持ちいいと気づいてしまった事。気持ちいいに任せて自分で擦りまくった挙句、その恋人に擦られまくってあまイキして寝落ちた事。
     脳を少し動かせば全部全部思い出せた。というより、思い出せてしまった。
     泥酔した時の記憶なんか思い出せない事も多々あるのに、こんな事ばかり全部覚えている自分の脳みそが恨めしい。

    なんでこんな事になっちまったんだろうな。
     
     付き合い始めて半年経つが、未だ隣に眠る辮髪の恋人とのセックスには全く慣れない。
     その背中を追いかけながら仄かに片思いしてきた時間が長過ぎて、気持ちが追いつかない。
     裸になって抱きしめ合うのは気持ちがいいし、満たされもするが、どうしても恥ずかしさが先にきてしまう。
     龍宮寺が三ツ谷の身体をもっともっと気持ち良くしようとしてくれているのは三ツ谷自身も分かってはいるが、とっとと突っ込んで龍宮寺が気持ちよくなって早めに終わらせてくれないと、心が爆発しそうになる。
     いつもそうやって前戯を嫌がってきたくせに、酔いに任せてあんな痴態を見せてしまうとは何たる失態か。自分の悪酔いには程々呆れる。
     
     もう二度と酒は呑まねぇ!…ってのは多分無理だから…もう二度とチャンポンはしねぇ!!

     三ツ谷は両手で顔を覆い、天井を仰ぎ見ながらそんな事を思っていたが、隣の龍宮寺が目を覚ますのが急に怖くなり、ベットから急いで抜け出そうとした。
     当分、顔を合わせたく無い。

     三ツ谷がベッドから両足を降ろして立ちあがろうとしたその瞬間。肩を掴まれ、三ツ谷は立ち上がる事も出来ずに結構な速さでベッドへと引き戻された。

     「うわっ!」
     「何逃げようとしてんだ?」
     
     ベッドに仰向けに縫い付けられ、上から龍宮寺に冷たい目で見下ろされる。
     「お、おはよう…ございます…」
     「その感じだと全部覚えてんだよな?」
     「う…うっす…」
     「逃げんなよ。」
     龍宮寺の目線に耐えきれなくなり、三ツ谷はまた両手で顔を覆った。
     「あー無理無理!顔見れねぇ!今ドラケン無理!」
     「は?あんなもん見せられて寝落ちされた挙句になんだそれ。」
     「酔っ払ってたんだよ!悪かったって!全部忘れていいから!」
     両手を顔から離しそう言うと、龍宮寺はムッとしたように小さく下唇を尖らした。
     「はぁ。まぁいいや。てか、なぁ、もっかいピンポン押させろよ。」
     「はっ?」
     「もっかいピンポンさせろっつってんの。素面で。」
     これはあれか?乳首を押させてピンポーンってやった昨夜のあの痴態の事か?何言ってんだ?酒も無しであれをやれと?罰ゲームかよ。
     「は?無理無理!あんなの素面でやんのゼッテ無理でしょ。冗談言うなって!」
     「冗談じゃねーよ。本気。」
     「マジで言ってんの?」
     「マジ。」
     黙ったままお互い目線で攻防戦を繰り広げる。こうなったらいつも負けるのは三ツ谷の方だ。惚れたもん負けとはよく言ったもので、三ツ谷は小さな溜め息を吐き出した。

    ほんと。なんでこんな事になっちまったんだろう。
     「一回…だけだかんな。」
     そう言って、三ツ谷は俯きながらTシャツを少しだけ捲る。捲りながら龍宮寺の方を盗み見れば、ゴクリと唾を飲み込む自己主張の強い喉仏が見えた。
     龍宮寺の指に三ツ谷の乳首がギュッと押される。
     ほら早く言えよ。と急かされ、三ツ谷は小さくピンポーンと声に出した。

     ってか、こんなの素面でやらされるとか!どんな羞恥プレイだよ!ふざけんな!あー無理!とてつもなく顔が熱い。

     龍宮寺はニヤリと笑って、指先をもう一度押し込んでくる。
     「今日は居ねぇのか?入っていいのか?」
     昨夜のそんな言葉まで引用してくるとは。このとんでもなくカッコいい男はとんでもなく性悪だ。くそっ。ボケッ。最低だ。
     三ツ谷はクソッと声に出してから、悔しそうな押し潰されたような声で、どうぞぉ。と昨日と同じセリフを吐いてやった。

     龍宮寺の顔が近づいてきて、唇が重なる。チュッチュッと音を立てながら、龍宮寺は細かいキスを繰り返し、その後で強引に舌を捻じ込んでくる。三ツ谷はとりあえずそれを追いかけるように、縋りついて食らいつく。
     三ツ谷の胸に置かれたままだった龍宮寺の指先が、三ツ谷の乳首の先端を掠める。右の乳首の先端を左右に掠めるようにサラサラと擦る。
     三ツ谷の身体にだんだん、熱がこもる。
     「んあっ…あっ…ド…ラケンッ…ダメ…だって…んはっ…」
     「ダメじゃねーだろ?」
     お互いの唇がぶつかったまま、そんな事を言い合った。
     三ツ谷のTシャツの中で龍宮寺が大きな手を目一杯に広げた。その手の親指と薬指が、三ツ谷の左右の乳首の先端を交互に擦り上げる。
     少しカサついた男らしい龍宮寺の手のその指先が、左右の乳首にサワサワッと触れる度に、三ツ谷の身体がビクビクと細かく揺れる。
     「んあぁぁ…ダ…メだって!ほん…と…無理!むっりっ!」
     何も言わず小さなキスと乳首の先端への刺激を繰り返す龍宮寺に、三ツ谷はたまらず顔を大きく左右に振った。
     「あー!もう!早くブチ込めって!クソッ」
     いつものセックス中のセリフと同じセリフ。でも、今日はちょっと訳が違う。いつもは早く龍宮寺に気持ち良くなってもらって早く終わらせたいだけのそのセリフ。けれど今日は、本当にそれが欲しくてたまらない。早くぶち込んで欲しくて、腹の中を掻き回して欲しくて堪らない。足の付け根の間が熱くて苦しくて酷く重く、腹の中がズクズクと疼いて我慢できない。
     男の乳首なんて単なる飾りみたいなものだと思っていたのに、そんな乳首一つでこんな状態にされるなんて、自分でも驚いてしまう。
     男のくせに乳首でこんな声を出している自分が情けなくて恥ずかしくて仕方ない。

     「ハァハァ…なぁ…ドラケン…ほんと…入れて」
     昨日、飲む前に一応自分で準備したと三ツ谷が掠れ声で報告すれば、龍宮寺の目がさらに鋭くなった。乳首を擦る手を止めて、真顔でジッと三ツ谷の顔を見下ろしてくる。
     「なんでいちいち煽ってくんだよ。」
     「煽って…ねぇよ。ドラケンが悪ぃんだろ!俺の乳首こんなに開発すっから!」
     「一晩で開発されてんじゃねーよ!チョロくて心配になるわ。てか、三ツ谷さ、誰にでもピンポンさせてる訳じゃねーよな?」
     「はっ?させてねーよ。あんなに見境なく酔っ払えんのドラケンと一緒の時だけだわ。」
     「信じていーの?」
     「なぁ、ドラケン。俺の片思い歴舐めんなよ。」
     三ツ谷が両手で龍宮寺の頬を挟み込みそう言ってやれば、またキスが降ってきた。そしてそれから今度は、昨夜のように手を引き起こされて後ろから抱え込まれる。
     龍宮寺の右手は相変わらず乳首の先っぽをサラサラと撫でていて、それだけでもどうしようもないくらいゾクゾクと肌が泡立って気持ちいいのに、空いている左手がいつのまにか纏ったローションと共に三ツ谷の尻の方をも刺激してきた。
     三ツ谷は熱と燻りが高まってきた身体をもじもじと捩りビクビクと跳ねさせながら、小刻みに息を吐き出した。恥ずかしさがまだあって今すぐここから逃げ出したい気持ちも湧き出すが、龍宮寺が「三ツ谷。三ツ谷。」とギトギトした興奮とホワホワした幸せを織り交ぜたような複雑な声で何度も名前を呼んでくるのを聞いて、前戯も悪くないな…いやむしろ最高だな。などと思い始める。確かに…これはこの恋人を心配させるほどのチョロさかもしれない。けれどこのチョロさは、この男限定のものだ。
     
     今日は一日、二人ともオフ。
     龍宮寺から与えられる快感は当分終わりそうに無い。三ツ谷は開発されたばかりのその快楽にズブズブと身を任せ、龍宮寺の胸板に泡立つ背中をそっと預けた。
     
     
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