お兄ちゃんに甘えるオニイチャン「オレはリンドーのオニイチャンだからさァ、」
そう言った蘭くんはどこか寂しそうに切なげに、オレの腹に腕を巻き付け顔を伏せて呟いた。少し腹が苦しいのは我慢して、よしよしとそのまぁるく形の良い後頭部をワシワシと撫でる。
くすぐったそうに微かに頭が揺れていた。太腿に吐息がかかる。ほんの少し、顔を上げた蘭くんと視線が合わさった。
「オマエも、オレに我慢させんの?」
「まさか、」
オレ、年上の従兄はいたから弟が欲しかったんスよ。今だけは蘭くんのお兄ちゃんでいてあげますね。オレの言葉を聞いて、蘭くんはそれはそれは嬉しそうに口端を上げた。おキレイな顔を喜色満面にし、小動物を彷彿とさせるようにすりすり肌を合わせてくる。
「蘭くんは甘えたっスねぇ。」
ふはっと吹き出したのを飲み込むように額を突き合わせてくる。そこから、
「……そう。オレ、オマエにめちゃくちゃ甘えたいんだよね。」
離れていった熱をもっと分け合いたかったけど、オレはお兄ちゃんなのでグッと我慢して、オトウトの頭を再びゆるりと撫で回した。
「ハナガキ、オマエ騙されてんぞ……。」
一部始終を覗いていた竜胆くんの独り言は、オレの耳にはついぞ入ることはなかったとさ。