かみなりこわい。 夏の入道雲が積乱雲に生まれ変わる。夕立ち、と表現するにはやさしすぎて今はゲリラ豪雨という言葉が定着していた。大粒の雨が窓に叩きつけられる。激しい雷鳴とともに否が応でも耳に入り込んで鼓膜に響く。武道は存外雷も雨音も嫌いではなかった。勿論外出している時にブッキングしてしまったらサイアク以外の何者でもないから建物の中にいる時限定だけれど。
灰谷邸は高層マンションの比較的上層階に居を構えている。晴れた日は遠く、運が良ければ富士山も見えそうなほどに見晴らしは最高。逆に雷雨の日なんて幾筋もの稲光も視認できた。今日もリビングのドデカい窓から絶景ビュー。雨と混じった稲妻が武道の目の前でスパークしている。キレイ。飽きることなく眺めていると武道の両肩にズシリとかかる重力。
1338