ハッピーブライドマリアージュ「竜胆、今週の土曜、いける? つーか、空けといて。タケミチ来るから」
「は? わざわざ言うのめずらしーじゃん。いつもは勝手に遊びに来ンのに。その日ねー……夜は予定あるからそれまでならいーけど」
神妙な表情を浮かべて、蘭が竜胆へ告げたのは月曜日の夕方のことだった。兄がオキニのガキンチョを家へ呼ぶのはよくある日常と化していたので一々弟にお伺いなんて立てられたことはない。竜胆は訝しんだが、ケータイのスケジュールアプリを確認しながら素直に答えた。蘭は続け様に言いかけて、少しだけ口籠もる。
「ケッコン、」
その単語を聞いた瞬間、竜胆の脳内では最初漢字変換ができなかった。
「え?」
「籍、入れようと、思って。その挨拶」
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