PM1:00「なぁ、パン買いに行こうぜ」
「パン? どこに」
「三つぐらい向こうの通りに新しい店できたんだって、ほら、前行ったコーヒー屋の近く」
「そういや一件テナントが空いてたな」
「そうそうそこそこ」
遅い朝飯は、チキンのコンソメスープとエッグベネディクトだった。チキンの他にも野菜をたくさんいれて作られたスープは具沢山で腹が膨れるものだったが、まあもちろん、俺は野菜少なめ鳥多めに注がせて食べた。
片付けまでとっくに済ませて、二人でダラダラリビングのソファに座ってコーヒーを啜っていると、ネロが出かける提案をした。コーヒーの香りで思い出しでもしたのだろう。
「お客さんが教えてくれてさ。あんたが好きな固いパンがたくさんあるってよ」
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