Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    とわこ

    @towako71

    レツゴ(主にエリシュミ、シュミ右)とかレツゴストDKとか

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 83

    とわこ

    ☆quiet follow

    うずさんのお宅のうずひこ先輩と。

    斗和はその日、いつもの如く、学園の小さな薔薇園でお茶を楽しんでいた。
    「にゃー」
    可愛らしい声に視線をやれば、小柄な三毛猫が薔薇の陰からこちらを見ていた。
    「わ、可愛い。おいでおいで」
    斗和は思わず席を立ち、しゃがみこむ。
    三毛猫は人懐こく、小走りに近寄ってきて斗和の手に頭を擦り付けた。
    「わーーーーー可愛いーーーーーー♡♡♡♡♡」
    斗和が耳の裏や顎の下を撫でる度に、ゴロゴロと喉を鳴らす猫。斗和はメロメロだ。
    と、少し遠くから、「ミケー?どこ行ったー?」と人の声が聞こえた。
    「あれ、きみのご主人が探しに来たかな?」
    斗和が猫に問いかけたと同時。
    薔薇の木立の陰から、手に猫用おやつを持った人物が姿を現す。
    「あ、いた、ミケ!」
    「あなたのねこちゃんですか?可愛いですね」
    斗和はにっこり、その人に笑いかける。
    その人は、そこに人がいると思っていなかったらしく、びっくりした様子で「いや、オレが飼ってる訳じゃないけど、学校に住み着いてる子なんだ」と早口にまくし立てた。
    「この子、すごく人に慣れてるから、飼い猫かと思っちゃいました」
    斗和が猫の額を撫でると、猫は小さく一声「うにゃん」と鳴き、おやつを持っているその人の元へと足を向けた。
    「あーん、行っちゃった」
    斗和が残念がっていると、その人は少し警戒しているような声音で、
    「君も、猫、好き?」
    と尋ねてきた。
    ………何を警戒されているんだろう。
    斗和は首を傾げ、「大好きです」と出来るだけ柔らかく答える。
    「そっか。……猫、好きなんだ」
    視線を逸らし、その人は少しなにか考えている様子を見せた。
    「おやつ、あげてみる?」
    「え!いいんですか?」
    「いいよ。いっぱい持ってるし」
    そう言いながらその人は、着ているパーカーのポケットからたくさんの猫おやつを取り出して見せた。
    「わ、いっぱい!ねこ、すごく好きなんですね」
    斗和はびっくりして、そして破顔する。
    「まぁね。この学校の猫たちのことなら、なんでも知ってるよ!」
    斗和につられたように、その人も笑ってくれた。
    太陽のような笑顔だな、と斗和は思った。
    「オレ、佐藤斗和って言います。一年です。あなたは?」
    「え!オレ、って……君、男?」
    斗和の自己紹介に、相手は驚いた様子を見せた。
    「え、男……です………が………」
    ああ。と斗和は納得した。
    斗和のことを女の子と間違えていたから、緊張した様子だったのか、と。
    制服を見れば分かりそうなものだが、斗和の姿なんて、猫の前では霞んでしまい碌に目に入らなかったのだろう。
    ──猫バカ。
    くすりと斗和は微笑ましさに口の端を上げて、
    「女の子じゃなくて、すみません」
    と一応、謝っておいた。
    「全然っ!こっちこそ勝手に勘違いしてごめんっ!」
    ぶんぶんと手と首を振り、パーカーのその人は、少し頬を赤くして
    「二年の猫山うずひこ。よろしくっ」
    と名乗ってくれた。
    「二年生。先輩ですね!よろしくお願い致します」
    斗和はぺこりと頭を下げた。
    「にゃーぉ」
    返事をしたのは、猫山先輩ではなく、猫山先輩の足元に絡みついている三毛猫ちゃんだった。
    ふふっ、と、どちらからともなく笑う斗和と猫山先輩。
    「佐藤くんは、ここで何してたの?オレ、この子を追いかけてここまで来たんだけど、こんなとこに薔薇が咲いてるなんて知らなかった!」
    「オレは、この場所が好きで……人が来ないから、よくここでお茶してるんです。猫山先輩もご一緒にいかがですか?」
    斗和は振り返って、さっきまでお茶をしていた、薔薇園に備え付けのガーデンテーブルと椅子を目線で示す。
    テーブルの上には、斗和が広げたクロスと、紅茶の入ったマグボトル、それから数種類のお菓子があった。
    「わーっお菓子!」
    「甘いもの、お嫌いでなければ是非ご一緒しましょう」
    にこにこと斗和は、思わぬゲストの為に椅子を引く。
    「ありがとう!」
    「飲み物が……これしかなくて。口をつけてしまったから、お勧め出来なくてすみません」
    と、斗和は心底残念に思いながらマグボトルを振る。
    「いーよお。お菓子だけでもラッキー!」
    「猫山先輩がいらっしゃるのが分かっていたら、紅茶もちゃんと二人分用意しますのに。…先輩、今度はいついらっしゃいますか」
    猫山先輩が席に着くかどうかだと言うのに、気の早い斗和はもう次のことを尋ねてしまっていた。
    「さあ、いつだろ」
    「えー。分かりました、じゃあ、常にボトルを複数本持ち歩くことにしますね」
    斗和は大真面目にそう告げた。
    それが面白かったのか、猫山先輩はあははっと笑った。

    その日から、気まぐれに──それこそまるで猫のように、時折猫山先輩は、斗和のお茶会に参加してくれるようになった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏💖💯💕💕💗☺👏💞❤❤❤👏👏👏❤❤❤🇱🇴🇻🇪☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    sheep_lumei

    DOODLEサンポと星ちゃんが色々あって二人で買い物に行く羽目になる話 宇宙ステーションヘルタの「不思議なコーヒー」の話が少し含まれます
    作業スペースで書いた落書きなので誤字脱字とか普段より多いかも あとコーヒーがベロブルグにあるかは忘れたけど無かった気もする あるっけ ないか まあ知らん……
    コーヒーと服と間接キス「あ」
    「え」

    ベロブルグの街角で、星はブラックコーヒー片手に呑気に歩いていた。前に年上の綺麗なお姉さんたちがコーヒー片手に街を歩いていたのが格好良くて真似してみたかったのだが、星は開始十秒でその行動を後悔する羽目になる。

    ベンチでブラックコーヒーを堪能するために角を曲がろうとした瞬間、勢いよく角の向こうから出て来た人影とそれはもう漫画やドラマで見るくらいの綺麗な正面衝突をした。違う。綺麗な、というより悲惨な、が正しい。考えて見てほしい、星の手には淹れたてほやほやのコーヒーが入っていたのだ。

    「っ!? ちょ、あっつ、熱いんですけどぉ!?」
    「ご、ごめん……?」
    「疑問形にならないでもらえます!?」

    勢いよく曲がって来た相手ことサンポの服に、星のブラックコーヒーは大きな染みを作ってしまったのである。幸いにも何かの帰りだったのか普段の訳が分からない構造の服ではなくラフな格好をしていたサンポだが、上着に出来た染みはおしゃれとかアートとか、その辺りの言葉で隠せそうにはないほど酷いものになっていた。
    4115