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    とわこ

    @towako71

    レツゴ(主にエリシュミ、シュミ右)とかレツゴストDKとか

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    とわこ

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    ミハエル様の愛犬シュミット
    お誕生日おめでとうシュミット!の短いやつ

    日々、ミハエルに恋人として愛玩されているシュミット。彼は今日、誕生日を迎えた。
    「君って薔薇がよく似合うよね」
    ミハエルがそう言うので、今年は花束でもくれるのだろうかと、シュミットはそわっとしながら五月の陽光降り注ぐテラスのガーデンテーブルでミハエルの次の言葉を待った。
    ミハエルはもったいぶるように紅茶を一口飲み、シュミットもなんとなく間をもたせるためにカップを口に運ぶ。
    「薔薇の花束を贈るのって、色にも本数にも意味が込められていて、特別だよね」
    「そうですね。あなたがくださるとしたら…どんな花束をくださいます?」
    シュミットは密かに胸を高鳴らせながらも、平静を装って問いかけた。
    ミハエルは、訊かれることが分かっていたとでも言うように微笑み、
    「愛を込めて、深紅の薔薇がいいかな。でも、君には清楚な白薔薇も似合うし………眩しい黄薔薇もいいよね」
    とシュミットを見つめる。
    「どれも素敵ですね」
    シュミットははにかんだ。
    ミハエルが自分を想って選んだものなら、何色だって嬉しかった。
    「それでね、選びきれなくって。君はなんでも似合っちゃうから。だから……、」
    ミハエルが視線を広大な庭の先に向ける。シュミットもつられてそちらを見た。
    「だから、君にはうちに新しく作らせた薔薇園を捧げるよ」
    「え?」
    「君の邸にも薔薇園はあるけれど、あれはシューマッハ家のものだろう?そうじゃなくて、君個人の薔薇園だよ。後で案内するね」
    「…ありがとうございます」
    シュミットはやや驚きながらも、でもまあミハエルのすることだから……と納得する。
    「よろしいのですか、あなたの邸の薔薇園を、なんて」
    「いいよ。いずれ君はここに住むことになるんだし」
    当たり前の決定事項のようにそう言われ、シュミットは頬を染める。
    早くその日が来て欲しいとさえ思った。
    「本当は、君のための薔薇を交配して生み出したかったんだけど」
    ミハエルは軽い溜息とともにそう続けた。
    「新種を作るおつもりで?」
    「そう。でも、さっき言ったように、君は何色でも似合うから、どんな薔薇を作るか決めあぐねてしまって」
    だから、今ある薔薇だけしかなくて、ごめんね。とミハエルは言う。
    シュミットは軽く笑い、
    「あなたが私のために頭を悩ませてくださることが嬉しいです」
    と返した。
    「そう?……実はね、君は薔薇でなくても、大抵の花は似合ってしまうから、花いっぱいの植物園にしてしまおうかと言う計画もあったんだけど」
    花が似合うなんて、容姿の美しさを褒められ慣れているシュミットは言われ飽きていたが……それでもミハエルに言われると嬉しかった。
    「お気持ちだけで十分です。ありがとうございます」
    「僕の気持ち、本当に伝わってる?薔薇園のひとつやふたつで収まる愛だと思ってない?」
    ミハエルは身を乗り出してむぅ、として見せる。
    「そんなに大きな愛を、私に向けてくださっているのですか?」
    シュミットは悪戯っぽく、揶揄うように言ってみた。するとミハエルは、
    「分からないなら、教えてあげないとね」
    と向かいから手を伸ばして、シュミットの手を握った。
    「………ミハエル?」
    「こっちにおいで」
    「……………、はい」
    言われるがままにシュミットは席を立ち、ミハエルの隣に立つ。ミハエルが自然に腰を抱き、自分の膝にシュミットを座らせた。
    「まずね、僕は君以外の人間と、ふたりきりで過ごしたいなんて思ったことはないよ」
    「はい…」
    「それから、こんな風に触れたいと思うのも君だけだ」
    「はい……」
    煌めく瞳から目を逸らせず、シュミットはただ頷く。
    「僕を、こんなにも狂おしい気持ちにさせられるのは君だけだよ。……分かったらキスして」
    命令の口調で言われて、おずおずと震える唇でミハエルに口付けると、後頭部をがっしり掴まれてあっという間にキスが深くなった。
    呼吸も思考もままならなくなるような官能的なキス。
    「………ベッドに行こうか」
    ふふ、と勝ち誇って笑われて、シュミットは顔を赤くして頷くことしかできなかった。
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    akira_luce

    DONE七夕の時にあげた丹穹。

    星核の力を使い果たし機能を停止(眠りについた)した穹。そんな穹を救うために丹恒は数多の星に足を運び彼を救う方法を探した。
    しかしどれだけ経っても救う手立ては見つからない。時間の流れは残酷で、丹恒の記憶の中から少しづつ穹の声がこぼれ落ちていく。
    遂に穹の声が思い出せなくなった頃、ある星で条件が整った特別な日に願い事をすると願いが叶うという伝承を聞いた丹恒は、その星の人々から笹を譲り受け目覚めぬ穹の傍に飾ることにした。その日が来るまで短冊に願いを込めていく丹恒。
    そしてその日は来た。流星群とその星では百年ぶりの晴天の七夕。星々の逢瀬が叶う日。

    ───声が聞きたい。名前を呼んで欲しい。目覚めて欲しい。……叶うなら、また一緒に旅をしたい。

    ささやかな祈りのような願いを胸に秘めた丹恒の瞳から涙がこぼれ、穹の頬の落ちる。
    その時、穹の瞼が震えゆっくりと開かれていくのを丹恒は見た。
    一番星のように煌めく金色が丹恒を見つめると、丹恒の瞳から涙が溢れる。
    それは悲しみからではなく大切な人に再び逢えたことへの喜びの涙だった。
    「丹恒」と名前を呼ぶ声が心に染み込んでいく。温かく、懐かしく、愛おしい声…。


    ずっと聞こえなかった記憶の中の声も、今は鮮明に聴こえる。
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