しじまより愛を込めて ――原始的な衝動のすべてを受け入れて、
躊躇せず、抑圧もせず、ひたすら抱き合える相手がいる事が、これ程幸福な事だという事をおまえで知った
そして、肉体が隔てたその向こう側で頼りなく小さなおまえを見付けた時、それが俺の心の輪郭であることを、おまえで知ったのだ――
「…若、飛ばされてるぜ」
セニョールは長い指を地面の紙に差し出した。体を折って爪の先でつまみ上げると、その殆ど正方形の黄ばんだ古い紙の文字をなんとはなしに一瞥する。そして少し眉を持ち上げた後、目の前で開け放たれた窓のふちに腰掛けている年若いボスへと差し出した。悪戯な風が、彼の手から紙をさらったらしい。
ドフラミンゴが「ああ、悪いな」と微笑みながらその紙を受け取る。何枚か同じような紙が、紙を受け取ったのと反対の手にあるのがその時初めてセニョールから見えた。
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