目の前には物凄く呆れて、静かに怒ってるブラッドが居る。
原因はオレだ。
オレは今、開き直っている。それはもう堂々と。
「キース…どういうことか、もう一度説明してもらおうか」
仁王立ちする怒りの麗人の前に、オレは一切恥じることなく正座をしている。何故なら目の前は絶景だからだ。
煌びやかな布で出来たワンピースタイプのチャイナドレス。右側にスリットが入っていて、仁王立ちすることによって形の綺麗な脚が見えて最高だ。
「衣装部の人間と雑談をしている内に悪ノリで提案したものが相手方も意欲的になってしまった、だったか?」
スリットが入っている側の脚に制服時に着用しているガンホルダーが着いてるのとか、衣装部の並々ならぬ熱意を感じる。内腿に少し食い込むホルダーベルトなんか匠の技だろ。
因みに脚は生足じゃなく、ピタッとして光沢のある黒タイツなのがまたエロい。いい仕事するな。
「ヒーロースーツのようにインカムに仕込んでまですることか?」
そう、ブラッドには新しいヒーロースーツの試着だと偽ってインカムを渡した。採寸に関しては衣装部がデータを持っている(これは本当だ)から、試着して動いた感想を聞かせて欲しい(これは嘘だ)と伝えた。
最初は衣装部の連中も見たいと訴えてきたが、必ず写真を撮る事を約束して下がらせた。見せられるか、こんな刺激の強いやつ。因みに写真は先程説明をしながら撮影済だ。
「そもそもこのスーツはどういう場面を想定している?マリオンやフェイス、レンが似たようなスーツを着用していたと思うが解決済のはずだろう」
そう。まさに着想はそこからだ。
ただ意味はない。
チャイナは男のロマンだ。そうだよな、司令。
つーか、敵との相性やらリンクスキルやらで砂浜にカジノ先入服でめちゃくちゃ暑かったり、雪山に水着でめちゃくちゃ寒かったりするんだから、見たかったって理由だけで十分だろ。
「…随分と大人しいが、反省しているのか?」
淡々と説教を連ねていたブラッドだったが、流石に疲れてきたのか怒りが収まってきたのか、すぐ側にある椅子に座る。
…おぉ、これはこれで…。
「そこまで静かに反省しているのであれば、今回はこれで許してやるが…何か言いたい事はあるか?」
脚をゆっくりと組む際に、布が捲れかけつつ捲りきらず、奥が見えそうで…見えない!くっ…やるな…だがそれもいい…
「…キース?」
「…ブラッド…」
ようやく神妙に口を開いたオレに、ブラッドは怒りの納まった声で少し優しく「なんだ」と続きを促す。
今なら言える。
「延長、お願いします」