無題涼拓 甘やかしてあげる
──高橋涼介、23歳。
赤城山を本拠地とする走り屋集団「Red Suns」 のリーダーであり、峠のカリスマであり、赤城の白い彗星の異名を持つ男。
その容姿は芸能人かと見間違うほど端麗。隙のない芸術的なまでのドラテクを持ち、おまけに頭脳明晰とくれば、女性のみならず男性からも憧れと尊敬の眼差しを一心に集める存在であるのも納得できよう。
まさに老若男女の理想を具現化したような人物なのだ。
しかし。
医大生、走り屋、プロジェクトDのリーダーと3足の草鞋を履いて生きるこの青年の精神構造やプライベートは未だヴェールに包まれたまま。長年行動を共にしてきた仲間ですら、時として涼介の言動の真意が理解できず、当惑する場面もしばしばあった。
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