実りの季節今年もまたこの季節がきた。今ではもう何処にでもある、ありふれた果実であるコッレガーレの実る季節。
依頼で訪れた街の近くには広い果樹園がありコッレガーレの実があちこちに実っている。もう数ヶ月もしたら甘い香りを放ち収穫を迎えるだろう。
街の人達がみんなで世話をしているらしいとグランから聞いたエルモートはふらりとその果樹園を訪れていた。
程よく伸びた枝葉に実る赤い果実。数は多いように思えるが
(…少し、小せェか?)
本来リンゴ位の大きさになるはずの果実はふた回り程小さく、どの木を見ても小振りなモノばかりが目についた。
「おや、どなたかな?」
果樹園の入口でコッレガーレを見つめているエルモートに麦わら帽子の老人がのんびりと声をかける。
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