まつりのあと《登場人物紹介》
鯉登音之進……ヴォーカル
音楽一家生まれのボンボン。天性の歌声の持ち主で、時々動画サイトに顔を伏せて歌をアップしており、その歌声が話題になっていた。見目の良さと歌のうまさでチヤホヤされているが、昔は兄と比べられていたのでコンプレックスをもっていた。動画のことを知った鶴見に声を掛けられ、尊敬する鶴見ならとバンドへの参加を承諾した。
月島基……ベース
貧困家庭で生まれ育った苦労人。ある曲(鶴見が作った曲)に出会ったことがきっかけでバンドを始める。バンドはプロデビューするものの解散。以降はプロのベーシストとしてスタジオミュージシャンになる。ある楽曲のベースを弾いたことで鶴見に声をかけられ、彼が新たにプロデュースするバンドに加入することになった。
尾形百之助……ギター
実父はある大企業の社長であるが、母子家庭育ち。母が良く聞いていたことからロックに目覚め、母方の祖父が持っていたギターを弾くようになる。ギターの腕はピカイチだが、協調性がないので一つのバンドで長続きしなかった。実力を知った鶴見に口説かれ、プロのギタリストになった経緯がある。
宇佐美時重……ドラム
一般家庭に生まれ育った鶴見の崇拝者。自身の実家と鶴見の実家が近く、初恋は鶴見で今も鶴見一筋。いつか彼と同じ舞台に立ちたくて、彼に勧められたドラムを始める。幼馴染と組んでいたバンドがメジャーデビューの誘いを受けたが、同時に鶴見から声をかけられたので脱退し、鶴見についていくことにした。
鶴見……プロデューサー兼キーボード
若いころはバンドのベーシストとして活動していた。美しすぎてヴォーカルより人気があったという。現在は様々なミュージシャンのプロデューサーとして活動している。ロシア人の奥さんとハーフの娘の三人暮らし。中学を卒業するまでピアノを習っていたこともあり、プロデュースしているバンドのキーボードを弾くこともある。
《これまでのあらすじ》
鶴見が新たなコンセプトをもとに作ったバンド、「Love 4 You」
バラバラな生い立ちの四人が集められたこともあり、最初は全く息が合わなかった。
特にバンド活動をしたことがなかった鯉登は、他のメンバーに合わせることができなかった。
しかし、鶴見が月島に鯉登の面倒を見るように命じたことで事態は好転していく。
月島は最初は嫌々面倒を見ていたものの、鯉登の天性の歌声と難しい歌も歌いこなす歌唱力、そして実力に胡坐をかかずに努力している姿を見て、考え方を変える。
鯉登も最初は嫌々指導を受けていたが、月島の刻むリズムの正確性とバランス感覚、なにより鯉登家の次男ではなく仲間の一人として自分を見てくれることに好感を持ち、なついていく。
尾形や宇佐美はボンボンとからかうので鯉登と打ち解けてはいないが、実績と実力はあるので鯉登から歩み寄り、尾形や宇佐美も鯉登の実力を認めていく。
そして華々しくデビューした四人は着実に楽曲の売り上げを伸ばしていき、ライブ会場もライブハウスからホールへと動員数を伸ばしていった。
そしてデビューから二年、四人が目標としていた武道館でのライブを行うことが決定した。
当日はメンバーと客が一体となって盛り上がり、伝説に残るライブとなった。
これから語られる話は、その翌日の話である。
※このあらすじは別途本編があるものではなく、この後に書いている話を書くための前書きです
※鯉登と月島以外は出てこないので、鯉登がヴォーカル、月島がベーシストで、同じバンドにいることだけ頭の片隅に置いといていただければ大丈夫です
※バンドマンじゃなくてもいい話では? というツッコミはNGです