いつかの休日　午前中の方が集中出来るのでは、と早めに部屋に上げてそれぞれテスト前の追い込みに集中していた。
「……ん、もうこんな時間か」
　通りで腹が減った。
「え、あ、もうお昼？」
「今日はサーモンクリームパスタにしようと思ってるんだけど大丈夫？」
「えっ？」
「作るよ。ちょっと待たせちゃうけどいいかな」
　恐縮させてしまったアラタを残し、キッチンに立つ。鍋に湯を沸かしつつサーモン、水菜、玉葱を適当に切り分けて、フライパンに放り込み冷蔵庫から生クリームを出しておく。
「アラタ、豆乳は大丈夫？」
「うん。…あの、手伝おうか？」
「いや、大丈夫。そう複雑なことはしないから」
　豆乳も出してしまって、フライパンの中身を気にしながら生クリーム共々口を開けて置いといて、しんなりしてきたあたりで流し込んだ。後は少し煮込んでコンソメやら何やらで味を整えてやればいいし、スパゲティは茹でるだけだし本当にそう複雑ではない。
「あ、いい匂い」
「もうすぐ出来るから、座ってて」
　食卓と作業用とでテーブルは分けているので移動してもらった。こういう時、わざわざ片付ける手間が要らないというのは便利だ。
「出来たよ」
「うわ美味そう！」
「何度か作ってるやつだから大丈夫だと思うけど…駄目だったら食べなくていいから」
　とは言ったものの、食べてみると出来も悪くなく、美味しいよ、と言ってもらえたので上出来だ。
　腹も満ちて少し暖かい室内では、やはり眠気がやってくる。コーヒーでも淹れようか、とアラタを見ると、こくり、こくりと舟を漕いでいた。やけに静かだとは思ったのだけど。思わず苦笑が漏れてしまった俺の前で、とうとう突っ伏して眠ってしまったアラタに着ていたパーカーを掛けてやる。本当は別の何かがいいのだろうけど、生憎気の利いたものなど無いのでせめて寒くないように、と自分は別の上着を着た。
　起きるまで放っておこう、と再びペンを走らせ、穏やかな寝息をBGMに夕飯をどうしようか考えていた。