最速の再会 電車を降りてからまた少し走って、授業にはちゃんと間に合い帰りに何となく繁華街へ足を向けた。
「……使ってくれるかな」
そういえば期限も枚数も確認せずに渡してしまったけど、大丈夫だっただろうか。特に目的がある訳でもないからふらふらして、目に止まったのは件のコーヒーショップ。行ってみようかどうしようか、と迷って足を止める。
「あ、あの…!」
控え目に呼び掛けられ、振り返ると今朝会ったばかりの彼の姿。
「あ…」
「あ、すみません声、掛けちゃった…」
「いや、用がある訳でもないしいいよ。あ、チケット使えた?」
「あ、そう、そうだチケットなんですけど…」
ごそごそと取り出したそれは、まだ使われていないらしかった。
「期限、ちょうど今日で…。ドリンクとスイーツと、ふたつずつみたいなんで、その、よかったら、一緒に行きませんか」
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