ミラーリング #9(影の国編:中編)暗雲
キィ、ときしんだ音を立てて扉が開く。フェルディアは顔をあげた。
暗い顔で出てきたウアタハは、フェルディアの姿を見て驚いたように目を丸くする。
「ずっと待ってたの?」
「ああ。──あいつは?」
「眠ってる。……でも」
ウアタハは痛ましげに眉をひそめた。フェルディアは再びうつむいた。
クー・フーリンが気を失った後、フェルディアとスカサハはもたもたしてはいなかった。
フェルディアがマントで包んだクー・フーリンを抱き上げると、スカサハは「ウアタハの元へ行け」とだけ告げた。
スカサハの双眸は冷え切っていたが、奥底に溶岩のように滾りたつものを感じ、一番弟子は久しく見なかった師の怒りに足が震えた。
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