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    もんじ

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    もんじ

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    ゲヘナAn『ドキサバ』

    ##TRPG

    ぎゅっサバ予告編(だったもの)「……ってなコトがあったんだよ!」
    身振り手振りを交えながら、彼──ベルカは楽しそうに説明をする。そう、それは昨日までの5日間の話。なんだかんだで無人島でサバイバルをした話だ。
    「それはすごいね!」
    話を聞いていた甲蠍人のターヘルも翡翠の目を輝かせ、楽しそうに頷いた。この5日間留守番をしていた彼は、連絡が来ないと3日ほど前から三日三晩港で僕らの帰りを待っていたという。帰ってきたとき、心配そうに全力移動してきた彼の姿はまだ目に新しい。
    まあ、その後に先輩達にいつもの変なことを言って怒られていたのだけど。あの悪癖がなければ素直ないい子なのになぁ、とは思っているが如何せんデリケートな問題で僕からは言えてはいない。
    「でも、無事で何よりだね」
    ターヘルの屈託なく笑う顔に、そんな考えも吹き飛んでゆく。本当に無事で何よりだった。そう思っていると、誰かがこちらに近付いてくる気配がした。
    そちらを見やると、目元には黒色の遮光眼鏡をした、いかにも胡散臭いを地で行く堕天使の男性が現れた。
    「なに楽しそうなこと話してはるんです?」
    「あ、ハンニバルさん。二人から無人島の話、聞いてたんですよー」
    彼の名はハンニバル。ここ界螺第六海上探索支部の副支部長だが、その悪辣な手腕とその性格からか支部の構成員からは煙たがられている。
    だが、ターヘルはそんなことも気にせずにこやかに返答をした。
    「あー、成る程。……ええですよねぇ、バカンス行ったっちゅうのは。ウチも行きたいですわぁ」
    「行けばいいじゃないですか!行きましょうよ、海以外で!!」
    「となると、山ですかねぇ」
    そして二人は場所はどうの、時期はどうするかで盛り上がっている。いつの間にか、ベルカも加わり割と山へのバカンス計画は着々と進んでいった。
    「どうしたのですか、賑やかですね」
    「……あ、レザーさん」
    部屋の入り口から顔を覗かせたのは、この支部専属の医師であり支部きっての白炎術士のレザーだった。
    「こ、今度……山にバカンスに行こうって、みんなで話し合っているんです……」
    「そうですか、それは良いことですね。息抜きは大切です」
    表情はさして普段の無表情と変わらないものの、レザーの声色は優しい。ここ最近、依頼に修行にと存外忙しかったからか、彼もみんなを心配をしていたのだろう。
    「ただひとつ、気になることが」
    「えっと……ど、どうしたんですか……?」
    真剣なレザーの声におそるおそる尋ねる。
    「発案者がハンニバルという点で、私は何かしらのトラブルを想像してしまうのです」
    「あ、あぁ……」
    確かに、それもそうだ。
    その言葉で楽しそうだった二度目のバカンスに、暗雲が立ちこめていくのを確かに僕は感じていたのだった。
    そして、その嫌な予感が的中してしまうのはまだ先の別の話だった。
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