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    PnknDol

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    Pタケ 謎の選択肢分岐がある

    4月シーズンボイスネタが読みたい!と思って書いたけど原型ないかも

    桜の溢れる公園、植木のそばにあるベンチ。
    この場所まで走ってきた俺たちは、暫しの休憩を取っていた。

    「綺麗だな!」

    呼びかけられて、同じ気持ちを相槌で示す。
    はしゃいだ顔──仕事の時には見せない部分を見せてくれることが、無性に嬉しくてたまらなくなる。
    少し子どもっぽいかもだなんて、俺には言われたくないかもしれないけど。

    時間は穏やかに流れていく。
    喋っていたり、風が花を揺らすのを眺めていたり。
    この人とならどっちだって苦じゃないけど、今は声が聞きたい気分だ。

    (俺から話を切り出そう)

    プロデューサーは水筒を勢いよく呷っている。
    いま声をかけるなら──


    [Route1]
    「すごくうまそうに飲むな、アンタ。」
    思ったことをそのまま口にしてみる。なんとなく、今一番気になったことだったから。

    「そうか? 自分じゃわからないけど」
    「ああ。スポーツドリンクだよな?」
    「うん、いつも事務所に置いてるやつだよ。確かめてみてくれ」

    そう言うと、プロデューサーは手にしていた容器をそのまま渡してくる。
    確かめてくれって言われたし、飲んでみれば良いんだよな?

    「……いつものと同じ、だな」
    「だろ?」

    どうしてそう見えたかを探ってみたり、他愛もない話は弾んでいく。
    ……ごく自然に間接キスをしたことに気づいたのは、解散した後のことだった。

    [Route2]
    「飲み物、足りてるか?」
    少し心配になる。
    この人は俺たちと違って鍛えているわけじゃないから。

    「大丈夫、まだまだいっぱいあるよ。」
    「足りなくなったらいつでも言ってくれ。買ってくる」
    「そんなにヤワなつもりは無いけど……。心配してくれてありがと。タケルは優しいな」

    『優しい』って。普段もっと俺たちに気を回しているアンタが言うことじゃないだろ。
    そう言ってやりたかったけど、まだ何か言いたそうにしてるのを見て引っ込める。

    「でも、気を遣わなくて良いぞ。 ほら、吊り橋効果って知ってるだろ?
    心拍数上がってるやつに優しくしたら危ないぞー?」

    ──なんだよ、それ。
    俺の心を散々乱しておいて、やられっぱなしでいろって言うのか。

    「うわっ!?」
    プロデューサーの身体を引っ張って横に倒す。
    頭は俺の膝の上。

    「タケル……?」
    「……アンタがそのへんのやつにうっかり惚れちまったら困るから。しばらく俺だけ見ててくれ」

    弱点を教えられて何もしないほど甘くない。
    だけど、どんな『優しさ』なら受け取られる? どうすればアンタの心に入り込める?
    答えは出ないまま、俺とプロデューサーはしばらく見つめあっていた。

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    それが最近、眠らずにぼうっと外を見ていることがある。開け放たれた窓の落下防止のポールに肘を掛けて、舞い上がる夜をそのままに波打つカーテンの中で静かにどこかを見ていることがある。
    杉下がそうして外を見ていると、桜がどこからともなくやってきて、その腕に収まるのだ。そこに会話も何も必要なく、そこに在るべきパズルのピースのように。あるいは地面に描いた円に猫が吸い込まれていくように。
    そうしてしばらく抱き合っていると、どちらからともなく視線を絡ませ合い、ただそこにある唇を確認するかのようにゆっくりと口を合わせ始める。触れる唇を相手の唇で押し付けて、カーテンの中の穏やかな時間が通常の倍以上の時間を掛けて流れていく。やわやわと唇を喰み、杉下の高い体温の指で人より少しだけ低い体温の桜の肌を辿ると、桜は小さくン、と声を上げる。それはとてつもなく色気を含み、その吐息だけで健全な男子高校生なら反応をしてしまうほどだった。杉下も例に漏れず、怠そうに肘を掛けていた腕を持ち上げ桜の頭にその大きな手のひらをそっと添えると、触れ合わせるだけだった桜の唇にゆっくりと舌を差し込む。桜もそれを拒まずに、受け止めながらゆったりと腰を杉下の脚に押し付けた。穏やかなカーテン裏の日向の逢瀬に、欲が混ざる。じゅる、と小さく水音を立てて段々と深くなる口付けは、息が上がってしまわぬ内にどちらからともなく離れていく。桜がほんのりと頬を染めながらほう、と息をつくと、杉下はその耳元でそっと囁く。
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