「良いことが有りましたか?」
目に見えて上機嫌の百々人さんに問いかけると、内緒話をするようなトーンでこっそりと教えてくれた。
「実はね。ぴぃちゃんが寝言で僕のこと呼んでたの、聞いちゃったんだ。」
「えっ」
微笑ましいエピソードを聞けるかと思いきや、自分の恥と向き合うことになるとは。それでも、知らないままにはしない方が良いだろう。
「寝てる間、どんなことを言ってましたか……?」
「僕の名前以外はよく聞き取れなかったよ。ぴぃちゃん、どんな夢を見てたの?」
今日見た夢。既に記憶は曖昧だけど、『パッションで育つ豆』を持ってきた社長が一瞬で枝豆を大豆にしたのは覚えている。
「確か、社長と新しい仕事の話をして、賢くんもそこにいて……。ずっと会議室に居た夢だと思うんですけど、百々人さんはいつ登場したんでしょう」
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