【hrak】切と爆が登山靴を買う その場所は、駅前から続く地下街のいちばん奥にあった。周囲の景色が段々と寂れていって、シャッターを下ろした店が多くなる。開いている店も、怪しげなアジア風の雑貨だとか、家庭用のパソコンで作った感満載の看板を掲げたマッサージ屋だとか、切島鋭児郎にとっては到底自分から足を踏み入れることはないだろう思うようなラインナップだ。
一体どこまで歩くのかと思い始めたころに、目的地は突然現れた。周囲の薄暗い店とは違い、ショーウインドウから店内まで明るい照明で照らされ、様々な商品が整然と並んでいる。商品たちは緑や茶色、それに無機質なシルバーのものがほとんどなので、「カラフル」という言葉にはそぐわない。それでも切島にとっては、異世界か魔法の国のようにわくわくする空間に思えた。
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