【切爆】ワンライ『可愛い』可愛い。
そうやって俺は毎日お前に言葉を注ぐ。
朝と夜の二回、どろりと溢れ出る愛を込めて。
これはまるで、呪いだ。
「俺なんか選ぶんじゃねぇ。」
俺が抑えられなくなった気持ちを伝えれば、そう吐き捨てるように返された。
自らが拒んでいるくせになぜか痛みを感じているような表情をしていて、お前が自分の想いに無理矢理蓋をしていることはすぐに分かった。
「俺なんか」と愛しい人間が自分を卑下することに、目の前が赤くなるほど怒りの感情が湧く。
お前はいつも、横暴で尊大なくせにどこか怯えている。
そんな怖がりなお前を、俺は守りたい。
これがエゴだろうがなんだろうが、構わない。拒否されようが罵倒されようが、俺はこの愛を伝え続けなければならないだろう。
初めは馬鹿にしているのかと、その役を引き受けただけで女になった訳ではないと怒鳴り散らしていた彼。
心外だ。そんなつもりで言っているのではない。それに性別なんて関係ない、お前だから可愛いんだ。
お前が、可愛いんだ。
そう真摯に向き合って言葉を注ぎ続ければ、賢いお前はすぐに理解した。そして羞恥と歓喜の狭間で踠き、受け入れ、順応し、この手をとって堕ちていく。
「きりしま」
甘えるように、上目遣いで体を寄せてくるお前。
「んー…?」
——あぁ、呪いの効果が、出ている。
お前はもう自分は“そう“なのだと分かっているんだ。俺に呪われているとは露ほども疑わず、当たり前だというような顔をしている。
にやける口元を抑えられない。
お前の顔を肩に埋めるように抱き締めた。
「可愛いなぁ、爆豪。」
今日もお前を守るために、呪いの言葉を注ごう。
この愛を込めて。